2015年3月4日水曜日

ECMサミット、やりました!

JIIMA ECM委員長としてのお仕事のご報告です。

先日、2月25日に恒例の第11回となるECMサミットを開催しました。今回は、OnBaseのHyland Softwareさん、LivelinkのOPENTEXTさんという専業ベンダ2社、IBMさんとOracleさんのビッグベンダ2社、にご参画頂きました。

そもそもECMサミットって?

公益社団法人 日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)のナレッジ系委員会であるECM委員会が主催する、セミナーイベントです。競合関係にある主要ECMベンダが呉越同舟的に同じテーマに沿ってプレゼンをするという特徴を持っています。概ね年に2回ほど実施しています。今回のような冬開催枠では例年キヤノンマーケティングジャパン様から会場をお借りしています。(もう一方はJIIMA最大のイベントであるe-ドキュメントJAPANにあわせて開催しています)

今回のテーマは?

11回目ともなると恒例行事です。今回は、これまでのECMサミットのテーマの遍歴とアンケート集計結果などを参考に、少し変化球的なテーマを設定しました。~主要ベンダー、インテグレータが振り返る成功事例~ECM導入プロジェクトの落とし穴です。このテーマには3つの狙いがありました。

  • 事例紹介がもっとも集客力のあるコンテンツである
  • 泥臭い具体的な話を聞きたいというニーズに対してプロジェクトの立ち場から応えることができるかもしれない
  • プロジェクトの担い手であるインテグレータの視線から語ることで参加ECMベンダに対して立体感のある描写ができるかもしれない

セミナーイベントをやるからにはたくさんの人に聞いて欲しいですし、我々は「普及啓発」をミッションとする委員会ですので、その趣旨においても集客力は重要なポイントです。とはいえ、呉越同舟的なイベントという特殊性のこともあり、ベンダ各社の発表の負担を大きくすることも避けたいところです。どうしても営業・マーケティング部門を通じてご相談させて頂くため、製品のメリットを解説する講演になりがちで、実際そうした指摘も度々なされてきました。(これは我々が技術を軸に集まっている集団であって特定の業種のお客様を集客する器ではない、という点からくる面ももちろんあります)

今回は、各社のパートナに客観的になぜその製品・会社をパートナに選んだのか、なんていうスタンスで語ってもらうことで、このあたりのハードルを少しでも躱していきたいと考えました。また、事前の説明無く当日各コマの前に「他社との違いを一言で説明して下さい」というリクエストを入れることで、串刺しできる視点を持ち込むという試みにも(勝手に)チャレンジさせてもらいました。

どんな講演があった?

いくつかの資料はECMポータルからダウンロード可能になるので、そちらを見て頂くのが良いかと思います。各社、事例の具体性も、発表の分担の仕方も、成功要因と考えている部分やその表現の仕方も、それぞれに異なっていました。ただ、あえていうのであれば、やはり専業ベンダとビッグベンダの間の違いが大きいという印象を私は持ちました。

講演のタイトルは、専業ベンダ2社のものが「業務は現場で起きている」「ECM実践例とプロジェクト成功のための勘所」という非常に抽象的なものである一方で、ビッグベンダ2社は「いよいよ公開!保険会社における先進ケース管理」「国内グローバル製造業が実現した販促物の配信と効率的なマスター管理」というかなり具体的なものを掲げていました。

このあたり、ECM(OPENTEXTさんはそれを拡張したEIMのコンセプトを打ち出していますが)を専門としているか、自社ソリューションラインナップのあくまで一部分として捉えているか、という違いがよくでていたと思います。

しかし、専業ベンダ2社の発表内容が抽象的だったかというと、もちろんそんなことはありませんでした。専業ベンダとしての蓄積と自信から抽出された言葉というのは、結果として抽象的な表現になるんだな、という感想を持ちました。Hyland SoftwareさんとパートナPFUさんの発表は、(紙からの)電子化文書についての多数の経験からでてきた具体的な「検討漏れ」のお話でしたし、OPENTEXTさんとパートナであるキヤノンマーケティングジャパンさんの発表は短期間では実現不可能な統合管理のメリットをいかに具体的に道筋をつけて実現していくのか、という示唆に富んだものでした。

対する2社の発表は、まさに満を持した形で発表された先進ケース管理(動的ケース管理、アダプティブケースマネジメントなどとも呼ばれます)の国内事例と、誠実にメタデータ設計を考えるときに常に問題となるマスター管理という、いわば玄人好みなテーマでした。さらに、Oracleさんの発表の実態はさらに検索性能への拘りという、非常にテクニカルである一方でエンドユーザの理解という意味ではかなり重みのあるテーマを扱ったものでした。

まとめ

さきほど、アンケートの集計がようやく終わったのですが、お陰様で過去の実績とくらべても好意的なフィードバックを多く頂いてるようでした。ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。残念ながらご参加頂けなかった皆様、次回は是非よろしくお願いします!

次回は、今月18日からのAIIMカンファレンスについてのお話になると思います。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)