2016年5月9日月曜日

AIIM2016に行ってきました

毎年恒例(?)の行事として、米国のAIIMカンファレンスに参加してきました。今回もJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)からの派遣という形で、ABBYY社のご協力もあってAIIMプレジデントのジョン・マンシーニ氏とも打ち合わせなどをさせてもらいました。詳しいレポートは月刊IMに投稿予定ですが、まずはご報告まで。

http://www.aiimevents.com/events/aiim-conference-2016/event-summary-981cb8aa25d64787b08466904f21a986.aspx

 

会場はニューオリンズで、私が初めて参加した3年前と同じ場所でした。プレジデント及びゲスト2名のキーノートセッション、業界の主な視点(ガバナンス、とか、エンゲージメント、とか)毎のパネルディスカッション、ラウンドテーブルセッション、一般的な形式のセミナー、などの基本的な構成は例年と変わらず、といった印象です。

一昨年、昨年と、近未来を見据えて、ECMというキーワードの陳腐化について真っ正面から捉えた言説が散見されていたのですが(昨年にいたっては「何か新しいキーワードが必要」とまで言っていました)、特に新しいキーワードが発表されたかというと、そんなことはありませんでした。概ね落ち着いた調子で業界の新しい動向を共有しあう会であったかと思います。

(むしろ、「記録管理という実験は失敗に終わった」とか「文書管理は死んだ」みたいなストレートな煽りを見かけなくなった印象です。たまたま私が参加した枠になかっただけかもしれませんが)

ゲストスピーカーは、Socialnomics(訳書『つぶやき進化論 「140字」がGoogleを超える! 』)の著者エリック・クァルマン氏と、The Future of Workの著者ヤコブ・モルガン氏のお二人でした。このあたりも、ソーシャルだとかデジタル変革などの伝統的な文書管理・記録管理に収まらない範疇をターゲットとして情報発信を続けているAIIMらしいラインナップであると思います。

プレジデントであるジョン・マンシーニ氏は今年でその席を降りAIIM内では別の役割を担う予定だそうですが、その彼のキーノートセッションではAIIMのテーマは一貫して「People, Process and Technology」である、と強調されていました。ECMコンサルタントの立ち場としては、コンテンツでもドキュメントでもなく「プロセス」が強調されていることにはある種の驚きがあります。実際には、人とプロセスを結びつける技術はすべてAIIMの関心領域に含まれる、ということで、時代によって変遷する技術のところが個別のテーマとして深掘りされる、という建て付けで、コンテンツ・ドキュメントとそれにまつわるツールや手法はそちら側ということのようですが、普段はプロセスとコンテンツをどこまで分離できるかということに頭を使うことの方が多いので、そもそも自分達が相手にする問題領域には先天的にプロセスが備わってるはずである、という視点は非常に興味深かったです。

その他印象的だった点としては、eSignatureのラウンドテーブルで「まだ導入できそうにない」という立ち場で最初にお話をされていた人が日系企業の方だったというちょっと出来すぎなくらいのシチュエーションがあったり、Infomation Governanceはかなり一般的な宣伝文句として各社のブースやパンフレットに記載され特に製品としての競争優位を争うポイントではないように見えたり、デジタル変革の議論ではやたらとDisrupterとかDisruptionという表現が使われているように感じたり、ということがありましたが、その当たりはまた時間があるときに深掘りしてみたいと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)