2016年10月25日火曜日

ECMサミット2016を開催しました

またもやかなり時間をあけてしましました。その上、事後報告ですが、日本文書情報マネジメント協会JIIMAのイベントでECMサミットをやりましたので、そのご報告をしたいと思います。

今回のテーマは『ワークスタイル変革とECM』でした。パネルディスカッション形式にさせて頂きました。パネリストとしてご参加頂いたのは、IBMの三ツ谷さん、OPENTEXTの市野郷さん、Hylandの金井さん、そして富士通総研の小林さんの4人の有識者の方々です。私は、事前のナビゲーションと司会を担当しました。

色々と反省点の多いイベントとなってしまいましたが、以下私がナビゲーション部分で表現し切れなかった部分を含めてテーマの趣旨やそこで語られた内容についてご紹介したいと思います。

ECMサミットのテーマは毎回ECM委員会のメンバーが定例会の中でディスカッションをして決めています。都度のアンケートの中でリクエストがあればなるべくそれに沿ったものにしたいと思いますが、毎回それなりに苦労と議論があります。今回は確か、AIIMがDigital Transformationなどより幅広いテーマに乗り出して頑張っているという話をきっかけに、Digital Transformationというと大袈裟でバズワードに見えるがワークスタイル変革では現在進行形のどの企業にとっても現実的に取り組みを始めているか検討中の地に足がついたテーマと言えそうだということでまとまりました。実際、日頃の提案でも取り扱うことがある題材です。

ただ、当日もお話させて頂きましたが、ワークスタイル変革自体は例えば労働負荷の軽減など労務的な文脈が強い領域ですし、オフィスレイアウトを見直して創造的な議論を引き出そう、などのおよそECMとは無縁な取り組みもたくさんあります。それでも、ワークスタイル変革の成果を具体的に出していくとためには、文書情報(を含む業務情報)の管理精度の向上が求められるだろうという思いもありましたし、実際に提案の現場での顧客との対話や情報共有を推進した事例などネタとなる情報はそれなりに集められるだろうという手応えを感じていました。

時短やリモートワークを推進すると、(これまでと比較すると)限定されたリソースで個々の仕事を回さなければいけないケースが増えます。1人の人間に情報を集中させることで情報共有を省略するような働き方は有効ではなくなります。物理的に人と物が集約されていることに依存している業務スタイルは、リモートワークによって確保される労働力を有効活用することができないという大きな弱点を持つと評価されることでしょう。時間的空間的に業務(とそれに必要な情報)を分離可能にする必要があり、それこそ我々が推進してきたECMの価値なわけです。

(この辺り、内部のディスカッションでは20年近く前からあったサテライトオフィス構想とその当時の顛末などかなり突っ込んだ内容がたくさん出てきて非常に刺激的だったのですが、そのまま外には持ち出せないので関心があるかたは是非JIIMAとECM委員会に加入してください!)

当日のディスカッションは、上記を結論の先出しにならない程度に希釈したナビゲーションを私が喋り、そこから、
・ワークスタイル変革をどう捉えているか
・その成功要因は何か
・成功要因の根拠となるような事例はあるか
・反対に注意点や失敗などはあるか
というような設問に各パネリストからの回答を求めるスタイルで進めました。

印象に残ったところを幾つかご紹介させて頂くと、唯一コンサルタントという製品ベンダを代表しない立場でご参加頂いた小林さんの「具体的な特定業務の改善はBPR、それ以外の全体を底上げするような取り組みがワークスタイル変革」という整理などは会場の反応も大きく、皆さん感銘を受けている様子でした。(個人的にはこの結論に至る前段階の、「SIerの本分はBPRである」という言い切りが素晴らしいと思いましたが)

OPENTEXTの市野郷さんからはそれこそDigital Transformationなど広い視点からのトップベンダーらしいコンセプチュアルな説明が整った形で提示されました。それに加えて、ワークスタイル変革の本質は(良い)労働力の確保である、という立ち位置から一貫性のあるご回答を頂けたことにより議論の見通しが良くなったという意味で司会としては非常に助けられました。

Hylandの金井さんは純外資系ベンダであるにもかかわらず(?)、非常に丁寧に設問の意図にそったご回答をご用意頂きました。そして、実際にアメリカで最先端の(自社製)ツールを活用した在宅ワーク中心の働き方を体現しているという立場からのご発言を頂くことで単なる欧米式礼賛の恐喝的マーケティングになることを回避できた点もとてもありがたかったです。

同じく体現者の立ち位置から立体的なご説明を頂いたのがIBMの三ツ谷さんです。社内制度を当事者としてご紹介頂き、「信頼」関係の確立が実際どのような形で効いてくるのかをお話いただけました。会場の反応としても、この部分の具体性についてご評価頂くと声がありました。

全体を通してみると、HylandさんとOPENTEXTさんという専門ベンダからは「統一基盤(プラットフォーム)に揃える」ことのメリットを強調する発言が多く、より統合的な視点にたつ富士通総研さんとIBMさんからは状況に応じたツールの使い分けのお話が出てくるという差異が印象的でした。この辺りの整理は当日は力不足で言及できませんでした。(共通点や差異をわかりやすく提示するのはファシリテーターの役目だと思いますが完全に能力が不足していました)

相変わらずテキストだけの色気のない投稿ですが、取り急ぎ開催のご報告まで

石井