2011年12月9日金曜日

中央大学アカウンティングスクールに行ってきました

中央大学 | ニュース | 株式会社イージフ 取締役副社長 石井 昭紀 氏がゲストスピーカーとして来校されました【国際会計研究科(CGSA)】


IFRSの書籍を書かせてもらった縁といいますか、同僚野口がやっている講義の1コマ分(厳密にはさらにその半分の1.5時間でしたが)の下請けという形で『IFRS×情報システム』というテーマでお話をさせてもらいました。大変、緊張しました。


生来的に話が回りくどいので、上手く伝えられたかどうかはわかりませんが、全体の構成としては、概観・対応類型・個別論点・トレンド、という要素にわけて考えました。概観というのは、IFRS対応という会計側の文脈からみた「やらなきゃ行けない仕事の1つとしてのシステム対応」というとらえ方と、システム業界で実際にビジネスをやっている人間としてみた「商機の1つとしてのIFRS」というとらえ方の2面について触れました。これは、会計士とともに起業し、J-SOX対応のブームを経験した立場からの話ということになったかと思います。次に、対応類型ですが、これは要するに簡易的に連結会計パッケージのレイヤで集中的に頑張って差を吸収しましょうという最軽量パターンと比較して、体質改善に近い全部入りERPパッケージ、その中間、についての分類の紹介です。実務的にはどれかにあてはまることになるでしょうし、今現在「商機」としてのIFRSに対して継続的にマーケティングメッセージを発し続けているのが1に連結会計の担い手、2に包括的なERPのプロバイダという現状についての整理にもなるかと考えました。


後半の個別論点は、固定資産管理システムとかプロジェクト管理システムとかっていう○○システムがそもそもどんな目的のためにどのように使われているものなのか、という地ならしの話を重点的に、それぞれのシステムがIFRS文脈でどうして話題にあがることになったのか、という話に繋げよう、と試みました。で、最後は、IFRSは「ムービングターゲット」と言われてますが、そもそもシステム業界なんて常に動きがあるところなので、適用年度のピークが一年ずれれば対応策もがらっと変わる可能性がありますよ、なんていう話で締めくくりました。実際、業務システムに対する大規模な投資のタイミングが計画的に後ろ倒しになると捕らえると、SaaS/クラウド型の業務システムを取り扱っているプレイヤの業績にも中期的にはかなり大きなインパクトがあるなじゃないかと思います。


クラウドやSaaSの業務システムについては他にも色々なトピックがあるので、続きはまた後日ご紹介したいと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年12月3日土曜日

Staff to be banned from sending emails - Telegraph

Staff to be banned from sending emails - Telegraph: "The email is no longer the appropriate (communication) tool."


師走にめがけて絶対量が増しつつある仕事にかまけて(?)、1週スキップしてしまっていました。


先ほど、/.Jでも話題になっていたのを見かけたんですが、フランスの大手SIer AtosOriginが18ヶ月後にEメールを禁止するんだそうです。SIerという言い方が正しいのかどうか今ひとつ自信がないんですが、この話を教えてくれた弊社メンバーの前職がAtosで、その彼が日本で言えばNECとかIBMとか......って話をしていた気がするので多分大丈夫でしょう。(IBMはアメリカ企業だろ、とか、いやいや日本のIBMは.....みたいな面倒くさい話がひっついてました)


インパクトのあるニュースですが、一方で、こういう話はそれほど珍しくも新しくもないような気もします。日本ではi-modeブーム以後、若い人はインターネットへのアクセスにPCを使わず、メールもケータイメールだけだ、なんて話がでたこともありますし、近いところではアメリカの若い人はFacebookのメッセージしかつかわなくなっている、なんていう話もよく聞きます。Facebookについては”mixi疲れ”的なポジショントークも含んでいそうがフォロー情報もあって、スパムフィルタがなく雑多な情報が混入するリスクがある一方でフレンド情報のしがらみ文脈が重たくまとわりついているFacebookからはむしろユーザの気持ちが離れEメール回帰が起きている、なんていう言説もあります。どちらについてもなんとなくこれまでも実感する場面があったように思います。


私自身はコラボレーションツールの導入コンサルティングも行っている立場なので、どちらかと言えばEメール離れが進むことが自らの利益に繋がるわけなんですが、代替といわれるメッセージング手法の多くがプラットフォームその他に対する依存が強く、これがEメールを代替する、と力強く宣言しづらいのも事実です。例えばFAXという通信手段については、最盛期に比べれば利用率は圧倒的に下がっていると思いますが「廃れている」とはいいづらい現状があります。その意味ではEメールも徐々にその量を減らしていくということなのかもしれません。小飼弾氏が、(確かWeb+DB Pressの総集編の記事かなにかで)長い時間を経ても陳腐化しない知識・技術領域としてHTTPを上げていて、なるほどさすがに完全に自明とも思えないけど結果として残りそうな良いところを指摘されている、と思いましたが、SMTPについてもある程度は同じ議論が通じる面があっても良さそうです。


また、このところのスマートフォンブームの中で、ブラウザという一般的なソフトウェアの上で普通に動作しているWebアプリケーションをわざわざ専用の「アプリ」を動きが盛り上がって来ました。確かに、専用「アプリ」は使い勝手が良いと感じます。私は、Eメールに対するその他のメッセージング手段というのは、あるWeb上のアプリケーションに対するブラウザアクセスと専用アプリの関係に近いものがあるのではないかと思います。短期間でみれば、その他のコラボレーションツールの方が利便性が高く、Eメールを完全に置き換えてしまうことにもメリットがありそうに見えますが、長期的なメンテナンスコストのことを考えると答えはそれほど簡単ではなくなるのではないか、と。Googleが断念したWaveなど、かなり派手なことをやっても今のところEメールを表舞台から引き下ろすことはできていません(むしろGoogleの躍進はSMTPのネットワークをそのまま受け入れた上で利便性を向上させたGMailによるものも大きかったと思われます)。


多くのステークホルダーが合意できるメッセージ集約のプラットフォームができれば事態がうごくこともあるかもしれませんが、プレイヤーの数が多すぎてそれも現実的な話とは思えません。後は、一気にデファクトスタンダードの地位をつかみ取るようなイノベーションが起きるか、ですよね。Atosのリーダーや既存のコラボレーションサービスのプロバイダがその明確なビジョンを持っているとは思えないので、その未来はもう少し先になるのではないかと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)