2012年8月23日木曜日

Webエクスペリエンスマネジメントの相互運用規格 WEMIについて

OASIS Web Experience Management Interoperability (WEMI) Technical Committee | Charter


以前も簡単にそういう規格が持ち上がりかけてますよ、というお話を紹介させて頂いたことがあったかと思いますが、Liferay関係のポストを稼ぐためにその続報をごく簡単に。


ECMの世界にSQLのような業界標準規格を、ということで策定されたCMISを追って、ということでしょうか、Webエクスペリエンスの相互運用規格についての議論がOASISのお墨付きを目指して進められているようです。弊社aegifのパートナーでもあるオープンソースエンタープライズポータル製品Liferayの製造元であるLiferay社も参加しています。


Webエクスペリエンス管理、という概念事態も賛否両論あるようで、ただのジャーゴン・バズワードだと言い切る人もいれば、ビジネス上必須の概念であると言い切る記事やWebinarもあるようです。ざっとWeb上の関連記事を見渡したところ、特にこのWEMI規格に力を入れている会社として、Hippo CMSの製造元であるHippo社の記事が目立っているように感じます。ApacheファウンデーションのOpenSocial製品Raveなどに取り組んでいる会社でもあるようです。CTOのBlogに参考になりそうな記事があがっていました。ざっくりとポイントをまとめると、「これまでのWebコンテンツ管理はSEO、つまり如何にしてサイトまで来てもらうか、に注力していたが、これからは来てもらった後のこともちゃんと考えなければいけない、それがWebエクスペリエンス管理が目指すところだ」、という主張ですね。「マルチチャネル出力だけでは不十分だ」とも言っています。確かにWCM市場の現状を明確に反映した意見で、総論としては正しい主張であるように思います。(ただ、このような規格を定めて相互運用性を高めることがゴールにどう繋がっていくのかについては、少なくとも私はまだよく飲み込めていません。)


WEMIのチャーターから、狙いを理解する上でキーとなりそうなところを簡単に引用したいと思います。Scope of Workという項目で、作業スコープに含めたユースケースと、あえて外したユースケースを3つずつ列挙してあります。


スコープに含まれているユースケース:



  • WCMからのコンテンツの表示とマッシュアップ

  • コンテンツとメタデータのインデックス

  • 全コンテンツのエクスポートと移行


スコープに含めなかったユースケース:



  • アクセス権管理

  • バージョン管理とレコード管理

  • データ投入と書き込みオペレーション


こうして並べてみると、どのユースケースも、「複数のコンテンツリポジトリを取り扱わざるを得ない」という状況を前提にしないと効果を実感しようがなく、国内市場でそのような前提条件を充足している環境がどれだけあるのか、っていうことが問題になりそうですね。これは相互運用性規格一般の性質であって、CMISも同じような条件だったことを考えると、数年もすれば色々とアプリケーションが揃ってくるのかもしれませんが・・・


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2012年8月8日水曜日

NemakiWareの公開

今日はBlogランチではなく、しかもiPadから更新です。
弊社aegifは基本的にはコンサルティングファームですが、オープンソース製品を扱うために必要となる技術力を持つチームでもあります。そこで、その技術を活用して新しい製品の開発にも乗り出してみました。
#慣れないビジネスモデルへの進出にはリスクがありますが、あくまでオープンソース製品なので、それ程大きなギャップではないのではないか、と考えています。
その製品の名前がNemakiWareです。詳しい情報はWebサイトを参照してください。http://nemakiware.bitbucket.org/
ECMの規格であるCMISをサポートし、バックエンドにいわゆるNoSQL系DBであるCouchDBを採用した、オープンソースのリポジトリ製品です。CMISを使って他のECMと同様にコンテンツのやり取りをできることと、NoSQLを採用することで実現したスケーラビリティが強みであると考えています。
ECM製品は文書管理やコラボレーションのアプリケーションとしても利用されていますが、リポジトリとしてミドルウェア的に活用されるケースも非常に多いわけです。NemakiWareは今のところ基本的に後者のニーズに応えるための製品として設計されています。その意味で(例えばAlfrescoと競合する様な)フルスタックのECM製品というと語弊があります。
まだ大規模なベンチマークをとるような段階ではありませんが、将来的にはNoSQLベースであることのメリットについてもそのうち具体的なお話ができるのではないかと思います。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2012年8月6日月曜日

New Alfresco Mobile Features for iPad and iPhone

New Alfresco Mobile Features for iPad and iPhone:



Alfresco Mobile 1.3 launched this week – that’s our fifth mobile app iteration in a year, demonstrating Alfresco’s continued commitment to providing the best mobile experience to our customers to ensure they receive the most up-to-date features to work with their content on their tablets and smartphones.



(Via Alfresco Global Feed)


またも、長期間にわたって放置してしまっていました。社長やエンジニアだけでなく、管理スタッフまでちゃんとBlogを更新しているというのに。


本当はWEMIについて書きたいんですけど、時間がなかなかとれなくて・・・


本題(?)に入ります。AlfrescoのiOSアプリが更新されました。新機能は、「暗号化」「一括アップロード」「メタデータ対応」とのことですが、注目すべきは「暗号化」ですね。企業システムにおけるBYODの問題に関しては、ざっくりと端末管理をがっつりと行っていくアプローチととにかく個人用よりも便利な公式アプリを企業側で提供することで無茶な行動を抑制していくというアプローチがある、なんて話を聞きますが、実際にはこの2つはどちらか一方だけを選んで集中すればOKという話でもないと思います。その意味でAlfrescoのモバイルアプリはどちらの方向性に対しても一定の目配せをしていると言えそうです。


タブレット端末が一般のPCよりもコンテンツの閲覧に関しては便利だ、という評価も一度はかなり固まっていたような気がするんですが、実際には複数の端末を使いこなすための心理的なオーバーヘッドもあわせて考えると、事態はそれほど単純でもありません。そもそもiPadその他のアプリケーションを書ける人は、がっつりとPCを使いこなしているわけで、「あんなことやこんなことまでノンプログラミングで!」とうたうビジネスソリューションを作っているのはプログラマ(=プログラミング言語を効率的に書ける人)、というのと同じ苦しさがありますよね。


久しぶりなので、快調に脱線してしまいました。


Alfrescoは今、タブレット端末でリポジトリ内の企業コンテンツを快適に・適切に閲覧し適切なリアクションを取っていくための環境整備を進めています。この流れの中で、安全性面に関して一歩コマを進めたのが今回公開されたバージョン1.3ということになります。PCベースで暗号化その他の情報漏洩防止ソリューションに投資しすぎて生産性を損なってしまっているケースに対しても、良い処方箋になるかもしれません。その様なケースでは、単純に低い生産性で我慢してモチベーションを下げていくか、下らない(?)ルールを迂回するために無駄なリスクをとるための抜け穴探しに血道をあげるか、という残念な流れに進みがちなわけで、ECMというコンプライアンス推進側でもあるベンダがこうした回答を用意するというのは必要かつ効果的なことだと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)