日本における事例とベストプラクティス、というお題で講演をさせて頂きました。ただでさえ、あがり症で何を話して良いかわからなくなりがちな上に今回は準備にも練習にも時間がとれず(毎回同じようなことを言ってますし、練習に関してはやれたことの方が圧倒的にレアなケースになってしまうんですが)、来て頂いた方にはお見苦しいところをお見せしてしまいました。
言い訳がてら、ここで講演資料の意図についてくどくどと補足をさせて頂こうと思います。
まず、全体としては、「aegifの自己紹介」「事例の類型の提示と個別事例の紹介」「ベストプラクティス」という3つの要素を盛り込んだつもりです。以下その構造に従って補足をしていきたいと思います。
「aegifの自己紹介」
もちろん、この項目を最初に持ってきた理由は、講演者がどこの馬の骨なのかを明らかにする、というところにあります。ただし、今回、Alfrescoの日本法人の設立に際して、Alfrescoという製品がそのブランドを持たない若い会社が扱ってもビジネスを継続することができたような「本質的な競争力を持つ製品」であることと同時に、今後Alfrescoを導入されるお客様やエコシステムを共に形成していくことになるであろうパートナー企業の皆さんに対してうちの会社が持つ強みを知って頂きたいという気持ちがありました。そこで、弊社の技術サイドにおける基本的な戦略として、我々がOSSのメリットを単なるTCOの削減ではなくサービス品質の向上やエンジニアを尊重し長期的な競争力を得られるなどの部分に見ているという、本題からすると少し冗長な説明を挟ませて頂きました。
「事例の類型の提示と個別事例の紹介」
土壇場で時間が少し短縮されてしまったため、駆け足になってしまったところですが、Foresterのレポートを参考にして類型の提示をさせてもらいました。導入部分がこなれておらず少々唐突な印象を持たれてしまったかな、と反省はしているんですが、ECMの機能や利用方法をFundamental、Transactional、Business、Persuasiveの4つのタイプに分類するというやり方は実務的な感覚をよく反映していると思うので、これからもリファレンスしていきたいと考えています。もしかすると、日本の事情を考えるともう少しスマートな分類がありえるのかもしれませんが。
会場にはお客様やパートナーさんもいらしていたので、もう少し丁寧に掘り下げたご紹介をしたかったのですが、かないませんでした。またの機会があれば、と思います。
「ベストプラクティス」
事例を踏まえてのお勧めについて簡単に触れました。ここも時間の制約をあおりを受けた面が否めません。パッケージベースのITコンサルティングを行っている身としては、「カスタマイズ」の取り扱いは常にプロジェクトの中心的な関心事であるといえます。実際にはパッケージ選定の重要なインプットでもありますし、コードベースを複数の顧客で金銭的な負担を分けあうという経済的な意義からすると、パッケージを推奨しつつカスタマイズを奨励するというのはある種の綱渡り的な危うさがある議論です。繊細な議論であるため、具体的な前提条件もなしにこういったところで結論がだせるたぐいのものではないのですが、講演においては非常にざっくりとした意見として、「Alfrescoを選んだのであれば、GUIのカスタマイズはむしろ積極的にやってしまってもよいのでは?」というような煽りを入れてみました。乱暴すぎる一般論ですが、Alfresco関連のプロジェクトに関してはそれで不幸になる人は少ないと思います。
その後も会場でお会いした皆様と色々なご相談をさせて頂いております。今年はAlfrescoもLiferayも国内市場においても色々と大きな変化がありそうです。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)