いつのまにかMarsEditの設定が狂っていたのか、Typepadの移行のタイミングで何かミスをしてしまっていたのか、ここ数回のポストは改行がなくなってました・・・ まったくチェックをしていないことがばれてしまいますね。誤字脱字も多いので、それ以前の問題である気もしますが。
さて、ソーシャルとコラボレーションというキーワードで、何件かLiferayのお話をさせて頂く機会がありました。Social Officeというプラグインもありますし、Socialの名前がついたPortletも幾つか公開されています。まとまった説明ができるといいんですが、今はまだ準備中というところです。
AIIMに関してもそうなんですが、ECM製品はこの10年くらいコラボレーション機能を強化してきた歴史があります。それこそちょうど10年くらい前に、現在はEMCの一部であるDocumentum社がeRoomを買収したあたりのタイミングで、その流れが明確に認識できるようになったと思います。当時は「柔らかい文書管理」というような言い方もされていて、文書として完成したものを「しまっておく」格式の高い保管場所としてのリポジトリから、文書の作成過程へと守備範囲を広げていくというトレンドがありました。ソースコード管理システムはすでにある程度普及していた(といっても現在のスタンダードであるgitなどの分散リポジトリどころか、その前の世代のsubversionですらなく、CVSかMS製品か、という印象でしたが)ため、版管理機能そのものは生産性向上にも効果を発揮するはずだ、という話もたびたび話題になっていました。P2P技術を使ってリアルタイムにオフィス文書を編集しる技術や、専用機材ではなくWebカムを使ったビデオ会議なども手に入りやすくなった時期で、eRoomの営業資料などには、コラボレーションとは必ずしも「リアルタイム」「ビデオ」を意味するものではありません、なんて文言が散りばめられていたのを覚えています。
そして現在、コラボレーションと共に語られるキーワードとしては「ソーシャル」がもっとも目立つ存在ではないかと思います。Enterprise 2.0であるとかSocial Content Managementだとか、という切り口でECM製品もソーシャルテクノロジについては積極的な対応をうたっています。弊社もコンサルティングファームとして単純なパッケージ導入以外にもこうした企業向けアプリケーションの中でソーシャル対応をうたうものの選別や導入支援などのお話をよくさせて頂いています。(また、ECM方面だけでなくLiferayがソーシャル基盤としての機能強化を意欲的に進めていることも本来であれば無視できない話題ですが、今回は省略します)
そうした立ち位置で現在弊社が社内のコミュニケーションの基盤として試用・評価中のものにco-meetingがあります。ざっくりとした説明をしますと、Google Reader廃止以前はもっともショッキングだったGoogle系ロストテクノロジ(?)のWaveに近い作りのツールです。(ざっくりしてるわりには、相手を選ぶ説明でしたが、そのまま続けます) リアルタイムチャットで、漢字変換確定前のタイピング過程まで共有表示されるという特徴を持っています。この最終的に確定する文言以外の情報が相手の目に触れうる、という感覚が非常に面白いので、小規模利用は無償でできるので、是非これを読んだ方は試してみて頂きたいのです。初回、私は、この遊びとも言える部分がノンバーバルコミュニケーション的な補完作用を持っているのか? という妄想にかられました。リモートワークの取り組みの中でオフィス内にカメラとマイクを設置して「雰囲気」の直接的な共有を試みた事例がありましたが、それに近い感覚的な御利益がある気がします。
ただ、私が特に面白いなと感じたのが、このツールが「コラボレーション」のためのものであるし、現代的な作りで、現代的な技術で作られているにもかかわらず、まったく「ソーシャル」的ではない、ということです。具体的には、これは運営している株式会社co-meetingの方達とも直接お話して確認したのですが、彼らはこのツールの得意分野を「議題・題名が明確についたやりとり」と見極めて開発をしている、という点からも言えることだと思います。
ソーシャルテクノロジによって電子メールが廃れる、という考え方があります。若い世代はSNSがあるので電子メールには見向きもしない、とか、逆にFacebookが情報で溢れてしまったのでむしろある程度ハードルがある電子メールに回帰してる、とかっていう話題は定期的にIT系のメディアに登場するので、妥当性はともかく今やそれほど突飛な考えではないと思います。この場合、ソーシャルテクノロジと比較した場合の電子メールの特徴は「題名」「宛先」を明確化しないと書けない、という点にあるとされます。(無駄なコピーが増えるなど、「問題点」はもっとたくさんありますが、コミュニケーション手段としての特徴はこの点に集約できると思います)つぶやき、にはどちらも要求されません。SNSのメッセージング機能も多くの場合は相手こそ選ぶものの表題は要求されません。
いわゆる社内SNSというのも、情報共有、組織活性化などを目的にすることが多いと思いますが、そこで前提とされているのは、グラフ起点でうっすら届くので個別の「宛先」設定がいらないし、「議題」確定前の緩い情報もはき出せる、という環境を用意することで、これまで電子化どころか言語化されなかった情報まで吸い上げることが可能になる、という期待でしょう。これに対して、co-meetingは明確に「議題」が設定された後のやりとりに集中しています。またも、ざっくりしている割には伝わりにくい説明をするのであれば、先日tumblr経由でながれてきた喧嘩の売り方のツィート『ガンコ親父「表へ出やがれ!!」
不良「ちょっと体育館ウラまでこいや」
ヤクザ「ウチの事務所いくか?お?」
数学者「じゃ黒板のある部屋行きましょう」』の数学者のところに近いイメージが理想的なco-meetingの使い方であるように感じています。
co-meeting社の方にお話を伺ったときも、yammerやchatterなどのソーシャルツールで議題が浮かび上がってきた後の詰めをco-meetingに舞台を移して行うパターンと、co-meetingのグループ内に「雑談」という名前の会議室を作っておいてそこで議題設定前のメッセージを受けとめるというパターンがありうる、というご説明をいただきました。弊社でもとりあえず、後者の「雑談」会議室パターンを試してみているんですが、yammerなどと比べるとグループとはいえあくまで公共の場という印象になってしまいあまりにも個人的なつぶやきのようなものは出しづらい感じがしました。このあたりは個人の性格や組織の文化もあるとは思うのですが、ソーシャル系のツールとco-meetingの性質の違いを強く感じられるポイントだと思います。
co-meetingも非同期的なコミュニケーションの基盤としての利点を持つツールなので、未読のメッセージを処理していくUIを備えていますが、それも最新情報が上にくるタイムライン的な表示ではありませんし、(少なくとも今のところ)そういう流し読み把握をブーストするようなモバイルクライアントもありません。そういうツールやモードもあったらあったでありがたいな、と思いますが、コラボレーション基盤としての軸をぶらさずに突き抜けて欲しいという気持ちもあり、なかなか難しいところです。最近、Facebook上でモバイルブラウザ向けのスタイルでアクセスできるページが紹介されていましたし、今のご時世まったく対応がなされないということはないと思うのですが、どこをどう工夫しても万人の賛同は得られない領域だと思うので、co-meeting社の次のうごきには注目ですね。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)