NemakiWare 1.1 リリース:Cathedral Break in Action:ITmedia オルタナティブ・ブログ
自社製品のNemakiWareの新バージョンをリリースしました。で、プロダクト責任者の杉本のブログも更新されています。
社内メンバーからも「Railsはサービスとして使うのはとっても良い技術だと思いますし、開発という意味でもすぐれたフレームワークではあると思うのですが、企業向け OSS のプロダクトとしては少しはやかったかなーとも感じました。」なんて書いちゃって大丈夫? というコメントがあったので、少し補足を入れつつ企業向けOSSプロダクトの難しさについて思うところをつらつらと書きたいと思います。社内から、ってところは少しショックな気もしますが、うちはIT以外のコンサルティングもやってますし、それも含めてダイバーシティ、と思うことにします。実際、社外の目、を意識する上ではとても有用なフィードバックです。
あ、念のために言っておくと、杉本が書いているのはRailsは(人気もあるし品質的に不安があるフレームワークではないけど)インストール型のプロダクトのベースとして使うには、環境毎にインストールで失敗する要因があちこちに潜んでいるのでフォローが大変、でも頑張って押さえ込んでますよ、ってことなので、無事インストールされた後の製品の品質とはほぼ無関係の議論です。
多分、例によって長くてもやっとした話になります。でもって、ほとんどNemakiWareの新バージョンとは関係ないので、製品に関心をもって頂いてる場合はこれ以上読んで頂かなくても・・・
企業向け&OSS&プロダクト
プロダクトのところは、パッケージという言い方でも良いかもしれません。要するにオンプレミスでも自分のコントロールできる環境にインストールして利用できるソフトウェアという意味です。弊社イージフのメインビジネスの一つが、この3要素を重ね合わせたところにあります。ビジネスドメインという意味では「何をやらないか」を表現した方がわかりやすいかもしれないので、対義語を並べると、一般消費者向け・プロプライエタリ・(クラウド)サービス、あたりになりますか。(実際は、いつ何をはじめてもおかしくないですけどね。9期目とは言え規模的にも立ち位置的にもベンチャーのつもりなので)
市場が企業向けなのか一般消費者向けなのか、というのは誰からお金をもらうのかという話なので比較的わかりやすい話なのですが、問題は残る2つです。OSSはなんとなくプロプライエタリよりも新しくて良いものな気がする、のと同じくらいのノリで、パッケージビジネスよりクラウドサービスの方が新しくて良いものな感じがするというのが、2014年現在のカジュアル(あるいはナイーヴ)な感想なんじゃないかと思います。うちは、片方では目新しい方、もう片方では伝統的な方に軸足を置いているので、少しややこしいわけです。
クラウドサービスを支える大部分の技術はOSSでしょうし、サービス企業からコミュニティに提供されるオープンソースのコードによる貢献の比重は極めて高いということもよく知られています。OSSというキーワードは、「クラウド」にバズワード的な意味での地位を譲ったような印象もありますが、実際にはこの2つは技術面では非常に高い親和性があります。ですから、両方新しいトレンドに乗っかってもよさそうなものですが、うちはそうしていません。(企業向け、ということでは、誰がどの領域をコントロールするのか、ロックインされるものが何か、という意味で大きく性質を異にする、とか色んな背景がありますが、ここではひとまずおいておきます)
サービスって?
伝統的なOSSビジネスが、ライセンスからサポートサブスクリプションへというビジネスモデルの転換をうたい、「これからはサービスで稼ぐ時代」なんて言い方をしていたのも、さらに話をややこしくしてくれます。当時言われていたサービスはいわゆる製品サポートと、前後してIBMあたりがサービス重視!なんて言って売り込んでいたシステムインテグレーションとかコンサルティングとかっていうものを漠然と含んだ概念であって、今日Web系のサービスとかクラウドサービスとかって言われるものとはだいぶ異なっていました。あくまでお客さんは企業、それも多くの場合は情報システム部門を相手にする仕事だったわけです。(Webサービス、っていうとWeb上で提供される各種のサービス、ではなく、SOAPとかRESTって解釈するクラスタ、と言ってもいいかもしれません)
現在我々が提供しているサービスも基本的にこの若干古めかしい意味でのサービスになります。導入支援、製品保守、カスタマイズ、etc. もちろん、企業向けであっても素晴らしい(クラウド)サービスはたくさんあります。利用者や支援者の立ち場でこれらのサービスを活用していく、というのも現在のコンサルティングサービスには欠かせない要素になっています。しかし、弊社の場合、自社のサービスは今のところ伝統的な意味のそれにフォーカスしています。何故なら、そこにはまだビジネスチャンスも社会的な意義も眠っていると考えているからです。
あ、やっぱり長くなったので、続きは後日にします。まとまらない話だった。
追記)このポストを受けて杉本が元記事を若干訂正して引用部分にズレが生じているようですが、こちらはそのままにしておきます。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)