2015年2月4日水曜日

平成27年度 税制改正大綱の衝撃

またまた投稿の間隔が空いてしまいました。

さて、ECM業界的にも株式会社イージフとしても、とても大きなニュースがありました。タイトルにも書いた税制改正大綱です。

私がECM委員長をやらせて頂いている日本文書情報マネジメント協会 JIIMAでもかねてから政策提言を行ってきた規制緩和のとても重要な部分が反映されています。

e文書法対応で領収書のスキャナ保存が可能に! というようなニュースをもしかするとどこかで読まれた方もいらっしゃるかもしれません。e文書法は範囲の広い法律なのですが、今回はとくに税にまつわるお話で、話の見通しはあまりよくないかもしれませんが、業界的にはこれは結構大変な出来事であったりします。

これまで税金(に繋がる経理)関連という理由で電子化が進まなかった領域が一気に合理化され、リモートワークなどを含めた生産性向上施策に大きな弾みがつく可能性があります。

弊社にとっても、

  • スキャンデータを法的要件に適う形で管理するためのソフトウェア基盤(と関連サービス)を商材として持っている
  • 緩和対象の条件となっている「適性業務要件」に関する内部統制の知見と実績を広く持っている

という特徴を活かす、機会だったりします。

今現在、非常に多くの方が「経費精算」のために紙のレシートを管理し、会社に提出していると思います。領収書という証跡を紙で保管するルールがあるからです。誰の目にも、非効率とうつるマニュアルプロセスです。実は、何年も前からこれをスキャナで読み取って電子的に保管することで紙そのものは廃棄しても良いという制度はあるのですが、ほぼ全ての企業で活用されていない実情があります。帳簿データを電子保存している会社の中でも証跡のスキャナ保存まで行っている企業は0.1%未満です。

なぜ、こんなことになってしまうのか。技術的な要件が厳しすぎるからです。10年前の制度設計において重視されたのは、紙の証拠能力に極力近い環境を実現し新たな不正の穴を作らないこと、だったからだと考えられます。しかし、今はITの活用とホワイトカラーの生産性向上が喫緊の課題として認識されているので、今回のような緩和が実現したのだと思われます。

細かい論点はたくさんあるのですが、ここでは我々が考える最大の緩和ポイントである「電子署名」のところだけご説明したいと思います。

これまでは「いつ、誰が、どのように」この文書をスキャンしたのか、という情報を保持するという要求の中で、まさに誰がの部分にフォーカスしたルールが作られてきました。現行ではスキャニングを行う個人の公的個人認証を求めています。「○○係」とか「○○担当」という役割ではなく、石井昭紀なら石井昭紀という自然人の特定を求めているわけです。こうなると、スキャニングという仕事を担当する可能性がある全てのスタッフ(含外注先)の電子署名を公的個人認証サービスから取得して運用しなければならず、分散入力などの合理化などは夢のまた夢となります。(業界の人は、この状況をさして個人の「実印」相当のものを求めている、と表現していました)

この実印の部分が撤廃される見込みです。認印、すなわち企業システム内で管理されるユーザIDの情報さえしっかり管理されていれば、誰がについては把握できていると見なすわけです。もちろん、改竄は防ぐ必要があるのでタイムスタンプによるチェックができる体制は求められますし、ユーザIDそのものの情報の信憑性を担保する意味でも「適正業務要件」が満たされる(=一定水準の内部統制が備わっている)ことを求めるわけですが、実印を要求する仕組みよりも格段に合理的であると考えられます。

弊社ではAlfrescoとタイムスタンプサービスの連携モジュールの実装実績もありますし、今であればNemakiWareとの連携も可能です。適正業務要件についての不安についてもご相談にのることが可能です。これを気に電子化・合理化のボトルネックとなっていたプロセスから、改善していくご提案をさせて頂きたいと思います。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)