ECM Enterprise Content Management、日本語では企業向けコンテンツ管理ということになりますでしょうか。いわゆる3文字略語というのはマーケティング主導、イメージ先行といいますか、いざその本当の意味は何かと問いかけられると言葉に窮してしまうところがあります。
この傾向は何も我々日本人だけのことではなく、海外においてもECMとは何か、かつて言われたEDMS(Enterprise Document Management 文書管理)とはどう違うのか、Webで利用されているCMS(Content Management System)との違いは何か、なんていうことが議論になっているようです。(他の業務アプリケーションでも例えば”SFAとCRMでは何が違うのか”、なんていう話をよく目にしますね)
そもそもこういった業界3文字略語が意味しているのものが、理念・コンセプトなのか具体的な製品なのか、というところからして意見が分かれそうです。ここでは、あくまで理念・コンセプトと捉えてみたいと思います。
まず、ECMとEDMの違い、文書管理(あるいはドキュメント管理)とコンテンツ管理ではどう違うのか。話を企業向け商用ソフトウェアの世界に限定するのであれば、これはPCの利用が推進されて電子メール、音声、動画、写真等「文書」という言い回しが不適切だと思われる電子データが増えてきたので、広く「コンテンツ」と呼ぶことにした、ということのようです。情報の共有化が促進され、ありとあらゆる情報を、検索し再利用することで作業の生産性を上げる、ということが理想とされています。
先ほど、企業向け商用ソフトウェアの世界、つまりはエンタープライズの世界に限定すれば、という前提を入れたは、このエンタープライズというキーワードを外したCMSという言葉にはまったく別のニュアンスがあるからです。通常CMSといいますと、今ではWebコンテンツマネジメント、Webサイトの管理システムを意味することが多いようです。この傾向はオープンソースの世界では特に顕著で、例えばXoopsやMambo 、Joomlaなどがその代表といえるでしょう。バージョン管理、ユーザ権限管理などの文書管理と同じアイデアが盛り込まれてはいますが、その対象はあくまで(たとえ社内向けであれ)Webサイトであり、基本的な管理単位はページです。それに対し、文書管理ツールにそのルーツをもつECM製品では、PCのデスクトップで扱われる「ファイル」の単位がそのまま管理単位になります。
Web由来のCMSでも拡張により「添付ファイル」を扱えたり、ECM製品がWebパブリッシングの追加機能をもっていたり、ということで実際にはこのボーダーはあいまいになってきています。例えばAlfrescoでもHTMLやテキストファイルはWebアプリケーション上で直接編集が可能で、その意味ではWebコンテンツ管理をすでに実現しているとも言えますし、今後さらにその分野に強力な機能強化が計画されています。(この点については後日また詳しくお伝えするつもりです)
# 実はECMという用語にはAIIMという団体が”公式な定義”を発表しているんですが、それについてもまた後日。
(文責 Ishii Akinori)