2007年10月13日土曜日

”ワークフロー”について

ご無沙汰しております。aegif 技術担当役員の石井です。



具体的に何かお知らせをする内容があるわけではないのですが(本当は沢山あるのですがまだまとめきれていないためもう少しお待ちください)、今回は文書管理システムのお仕事のなかで頻繁に遭遇するキーワード ”ワークフロー”について書かせて頂こうと思います。ここでいうワークフローとは稟議書に代表されるような「承認業務の電子化」を意味しており、たとえば「Webサイト構築のワークフロー化」のようなビジネスプロセスそのものの見直しなどは対象外と考えてください。



まず、我々はワークフローのソリューションを大雑把に3種類に分けて考えています。第一に、ワークフローのための専用ソフトを導入するケース。次に、これが我々の得意分野ということになりますが文書管理システムをベースとしてその上にワークフロー環境を構築するケース。最後に、それ以外の(例えばERPパッケージやグループウェアなどの)システムの上に構築するケースです。



ワークフロー専門のソフトというと、純粋なアプリケーションとBPMエンジンといわれるようなミドルウェア的なものの2通りが考えられますが、ここでは純粋なアプリケーションを対象としています(BPMエンジンはどちらかと言えば3つめのカテゴリに含まれます)。専用ソフトはやはり使い勝手という意味で他の選択肢よりも優位性があります。特にシステム全体がそのワークフローのために構築されているという意味で、ユーザ側の混乱が最小化できるという意味でユーザビリティは他の方法に比べて一段高いレベルにあると言えるでしょう。価格も低廉なものが多いため、予め特定の「ワークフロー化したい申請業務」が明確かされており、その業務だけを対象とするのであればこのカテゴリのソリューションが最適解になる場合がほとんどであると考えられます。逆に、他のシステムと連携させる必要がある、各申請の経過や結果を文書として保管するアーカイブ要件がある、他の文書と統一の全文検索基盤の対象としたい、などの要件とは相性がよくありません。



次に文書管理システムを利用する場合ですが、文書管理システムのワークフロー機能というのはあくまでそのシステムで管理する文書の取扱方法の1バリエーションに過ぎません。文書管理システムのリポジトリ内でのステータス情報を切り替えるというのがその本質であり、ユーザは文書管理システムの標準的な使い方に習熟していることを期待されてしまいます。もちろんメール通知機能やID統合機能など様々なサポート機能が整備されてはいますが、やはり使い勝手という面では専用システムに及ばない部分がどうしても出てきてしまいます。これは、文書管理システムが「基盤」となることで真価を発揮するタイプの仕組みである以上仕方がないのかもしれません。逆に、全文検索やアーカイブの要件や、システムに直接関与できない社外を取り込む(たとえばスキャン文書を取り込めばワークフローの一部をFAXとすることもできます)などの複雑な要件に対する対応力は極めて高いと言えます。



最後にその他のパッケージシステムを利用するケースですが、この場合の最大のメリットはユーザ側からみたインターフェースの統一にあると考えています。専用ソフトの場合はその承認業務のためだけのシステムを呼び出す手間がありますし、文書管理システムの場合もその文書管理システムにログインする必要があります。シングルサインオンなどでその手間をある程度低減することはできますが、結果的に何種類ものシステムを使い分けなければならないことに代わりはありません。しかし、ERPやグループウェアなどの既存の基盤に統合できれば、あくまで今まで使っていたシステムの延長線上で実現されるため、エンドユーザが把握すべきシステムの数は増えないわけです。この場合の弱点は主にコストとワークフロー機能自体の柔軟性にあります。ですので、やはり対応するべき業務がすでに明らかになっており、かつ連携すべきシステムも明確である場合にこそ選択されるべきソリューションということになるかと思います。



弊社はECMを得意分野としているため2番目のカテゴリである文書管理システムベースのメリットを説明させていただくことが多くなりますが、実際の提案活動の中では以上の分類を踏まえて専用ソフトなど他の選択肢を推薦することもあります。我々がお話をお聞きする時点では3番目の選択肢はお客様側ですでに棄却していることが多いため、3番目を改めてお勧めするというケースはあまりありません。Alfrescoの導入を前提としないワークフロー要件の検討も業務として行っておりますので、具体的な課題をお持ちの方は是非一度お話をお聞かせください。



(文責 Ishii Akinori)