こんにちは。aegif技術担当役員の石井です。
Alfrescoにとっては競合になりますが、コア開発メンバーの古巣であるDocumentumのチームが新製品をリリースしました。EMC買収後のバージョンアップの中でも特に大きな意味を持つリリースになりそうです。
特に目を引くのは、Web2.0対応(タスク指向のコラボレーション環境の提供)と軽快なドキュメントモデル(High-Volume)の採用の2点です。
Documentum製品はクライアントサーバ型のデスクトップクライアントからWebベースのクライアントへと移行してきた歴史を持っています。ユーザに対する操作モデルの改変だけでなくJavaアプレットを含めた実装テクノロジも変遷をとげており、その流れの中からでてきたWeb2.0的インターフェースというのは興味深いと思います。Alfrescoの場合は次のバージョンで現在の「Web2.0」インターフェースであるJSF+Ajaxのものを棄てて、さらに新しい展開を見せる予定なので、その比較というのもAlfresco側の形が見えてきた段階でやってみたいと思います。
次にHigh-Volumeについてですが、大量の帳票データなどDocumentumのようなECM製品が持つ重厚なコンテンツモデル(標準ですべてのファイルに割り当てられる属性情報)を一元的に割り付けられることが不合理なものに対して、より軽快なモデルを適用するという考え方のようです。確かにマニュアル編集が全く発生しないファイル群にバージョン管理用の管理データがぶら下がるというのは合理的ではありません。Alfrescoは基本モデルにはあまり属性情報を定義せず「アスペクト」という形で後から割り振る仕組みなので、こういった問題ははじめから存在しないわけですが、他の製品からHigh-Volumeというキーワードで新しくこういう仕組みがリリースされるというのは、面白いと思います。Alfrescoは後発であることのメリットを活かして、従来型のコンテンツに対してもHigh-Volumeなものにも統一的な仕組みで対応できるようにしているのに対し、Documentumは基本設計自体を2本並列させることにしたわけです。統一することのメリットも専門特化することのメリットもそれぞれ当然あると思われますので、今後はECM製品選定の切り口としてこういった下層の基本設計がより明示的に問われることになるかもしれません。
(文責 Ishii Akinori ITC)