2010年7月8日木曜日

【7月15日(木)】米国Liferay社 CEO 来日記念セミナー -企業ポータルをオープンソースで実現-|オープソースポータルのLiferay


米国Liferay社 CEOのBryan Cheung氏が来日し、同社のオープンソースポータル製品『Liferay』について紹介するとともに、日本市場におけるオープンソースソフトウェアの展開やロードマップをお話します。

[From 【7月15日(木)】米国Liferay社 CEO 来日記念セミナー -企業ポータルをオープンソースで実現-|オープソースポータルのLiferay]

弊社のOSS事業においてAlfrescoに次ぐ重要性を持っている製品、Liferayの製造元米国Liferay社のCEOが来日します。少し前からWebサイトにも告知を出していますが、協同でセミナを開催することにしました。来週木曜日7月15日、13:30~、場所は六本木ヒルズです。是非ご参加ください。無料です。


Alfrescoに関しては製品自体の黎明期からの付き合いであり、国内に特にユーザのコミュニティもなかった状況からパートナーシップを締結して今日までビジネスを広げて来ましたが、Liferayの場合は少し事情が異なっています。我々が手をあげるまでは国内には正式なパートナーとして商用サポートを提供する会社こそありませんでしたが、無償版のユーザは多数存在しました。そのこと自体は、Liferayの製品の品質の高さ、使い勝手の良さを示すものだと思いますが、弊社の立場の説明を難しくしている面もあります。


弊社は、ある一面では、(SAP ERPに代表される)エンタープライズ向けの業務パッケージのコンサルティングサービスを得意とするコンサルタントを擁するファームであると言えます。誤解を恐れずに限定的な言い方をするのであれば、いわゆる「パッケージ採用のメリット」の実現と業務上の有効性の担保のバランスを取る、という仕事をしています。これには、パッケージに対する技術的にも突っ込んだ理解と、業務側のユーザや経営者を中心とした各ステークホルダへの説明責任を全うできるレベルの、現場での検討の積み重ねが大前提となります。そういった立場から業務システムというものと付き合っている我々から見ると、OSSというのは、かつて「パッケージ採用のメリット」と言われていた理想を、より精緻な形で実現できる可能性をもった製品群であると言えます。


(ちょっと話がLiferayから離れすぎてしまいそうなので、引き戻します。中略。)


Liferayのメリットの1つは、エンタープライズ環境における認証の仕組み(つまりはADなどのディレクトリサービス)と連携可能な、パーソナライズ機能付きのWebアプリケーション基盤である、というところにあります。もちろんポータルエンジンですから、既存のシステムのUIをユーザ管理基盤を同調させつつ統合することもできます。ただし、この種の基盤というのは、OS・ミドルウエア・ブラウザなのどアクセス技術の変遷に追随しつつある程度の後方互換性を維持するという、非常に手間がかかる作業が背後にあってはじめてパッケージとしてのメリットを生み出せる、という事情があります。その上、これはあくまで基盤であるため、いくら手間をかけても、アプリケーション以上のレイヤで実現するような「効果」を新たに生み出すことはできません。だからこそ、専門家に任せようという話になってくるわけです。


そして、その基盤の上に独自のアプリケーションを実装する人の立場にたって考えたとき、「特定の技術やプラットフォームに束縛されない」「製品ラインとして廃止されて利用不可能になるというリスクがない」「いざという時にコードを見て問題解決を図るという選択肢が用意されている」「独自規格にこだわらず業界標準に従った構成・APIを積極的に採用している」といったOSSのメリットが、非常に説得力を持ってきます。LiferayもAlfrescoも、インストール直後からそのまま使うことができる完成された「アプリケーション」ですし、それを製造元の正式サポート契約を整備して安心して使っていただく、ということも我々の大切な使命の1つです。しかし、パッケージそのままではやはり効率的な業務システムとしてエンドユーザの中に定着していくとは難しいのが現実であり、これらの製品を土台として使ってその上層に業務に応じたアプリケーションを実現するというやり方こそ、我々のサービスの第1のターゲットです。


上層にアプリをのせるための土台としてパッケージを評価するのであれば、OSS無償版を自己責任で使い続けるという選択肢はほぼありえません。自分でリスクをとるということは、そのレイヤも含めてコードのメンテナンス対象とするということになってしまいます。しかも、それだけの手間をかけてそのノウハウを蓄積しても、製品ラインに対するコントロールを持っているわけではないので、開発元はどんどん新バージョンとして管理対象のコードを追加してくるわけです。それではせっかくオープンで見通しの良い製品を使っていても、時間ともにメンテナンスの負担がどんどん大きくなってしまいます。


以上のようなコスト構造のお話というのはOSSのしかもアプリケーションよりの製品に携わっている人間にとっては今更目新しいものではありませんが、Liferayのセミナでは、実際にこれらのメリットを理解し、非常に洗練された形でLiferayを活用している実例についても幾つか言及される予定です。国内での事例ももちろんご紹介しますが、特に海外において、これらの基盤としての色合いをもったOSSアプリケーションが理屈通りに価値を発揮しているという実態を、是非より多くの方々に知って頂ければと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)