2015年9月7日月曜日

浜名湖フォーラムに行ってきました

コンサルティングファーム時代の先輩からChromebookを譲って頂いたので、今日はMarsEditではなくBloggerの標準UIで投稿してみようかと思います。

IT経営会議 浜名湖フォーラム2015 に行ってきました。これで3回目の出席になります。

ECMもEIPもBPMも、一般にはアプリケーションとして扱われているにもかかわらず、特定の業務だけをスコープにIT投資を考える場合にはなかなかメリットが訴求できない基盤/プラットフォーム/ミドルウェア的な技術です。これらの技術がもたらす利点を以下に投資企画策定時に理解し取り込んでもらうか、という検討をしている中でIT投資マネジメントを研究されている方々の取り組みを知り、ほぼ飛び入りに近い形でカリアックにお邪魔したのがきっかけでした。(IT資産価値研究会にもそこからのご縁で参加させて頂くことになりました)

自分の発表について

さて、今年は色々と忙しく、昨年以上に発表の準備に時間をかけることができませんでした。昨年はシステムダイナミクスを使って、疎結合により柔軟性を担保した仕組みの方がモノリシックな仕組みよりも、たとえ初期費用で上回っていても中長期的にはメリットが出る、というお話をさせて頂きました。(厳密には、メリットが出る時の条件を検討する枠組みだけ作った感じでしたけど)

今年はその延長で、クラウドとオンプレミスを比較し従量制と定額制の組み合わせの最適値をさぐるようなお話を考えていたのですが、思った以上に要素の数が大きく、なぜそれを考えたいのか、という説明だけして撤退、というありさまでした。

ここでも簡単に説明させて頂くと、

  • クラウドとオンプレミスは課金モデル以外にも違いが大きすぎて、現在一般に行われているTCOの比較は誠実な検討とは言えないのではないか
  • クラウドによりスモールスタートを「スタート」しやすくなったが、適用ユーザを広げるとリニアにコストアップになるので結局「スケール」しづらくなってはいないか
というようなことを考えています。

イージフではこれまで一貫してロックインされないことを重視し、オープンソース製品の紹介を進めて来ました。私はその経緯もあって、柔軟性とは「将来における選択肢の幅を狭めないこと」であると考えています。今年の発表ではそのあたりのバイアスをうまく整理しきれず、研究会のリーダーである向さんから、クラウドの柔軟性と言われれば聞き手はスケーラビリティのことだと思うよね、という至極順当なご指摘を頂きました。まったくその通りなので、忘れずに反映しないと・・・

(あと発表内容が難解すぎるので飲み会で語ったIngressとモチベーションの話の方をテーマにしてくれれば良かった、というお言葉を数度頂きました)

他の方の発表について

今年も多岐に渡る発表がありました。どこまでこうした場でご紹介していいのかわからないので簡単にキーワードとそれらについての雑感だけ、メモとして残しておきたいと思います。
  • デザイン思考 ……アイディアの出し方そのものをサービスのネタにすることの難しさや面白さについて、具体的なシーンを元にしたお話を多数聞けたのが有意義だった。
  • IoT  ……CPS(サイバーフィジカルシステム)という表現から迫ったほうが穏当? EDIの置き換え文脈もここに含まれるというのが面白かった。FAXの代替は電子メールではなくECモジュールかも、など
  • 地域支援  ……コアとなる中堅・中小企業の支援。新しく白書もでた小規模企業の支援。国などからの制度設計の視点ではROIを意識せざるを得ないが、現場は「個」の特徴に注目せざるを得ないし、成功事例はその個性を意識したところにしかない
他には、栗山先生の一連の研究にあるプロジェクト成功可否に大きな影響を与える要素としての「経営者」というお話が、改めて非常に示唆に富んだものだと思いました。IT資産価値研究会も単なる財務的な評価ではなく、意思決定に資するようなより実質的な評価を模索しているわけですが、そこには客観的な確からしさが担保される指標だけでは不十分である、という葛藤が常にあるように思います。プロジェクトの成功要因として「経営者のコミットメント」を挙げるのは、お手軽だし正しい。しかし、ワイルドカード過ぎて空虚な話になり勝ちなわけで、そこを掘り下げていくというお仕事の過程をお聞きして、どこか似たような葛藤を抱えておられるような印象を受けました。いわゆるアートとサイエンスの狭間にはありがちな話なのかもしれませんが、なんとか次の締め切りまでには自分の方も何か形にしたいものだと思います。

文責 Ishii Akinori IT-Coordinator

2015年8月27日木曜日

ECMの過去・現在・未来

毎度のご挨拶と化していますが、ご無沙汰しております。

AIIMが「ECMの次」をあからさまに模索している中、改めてECM業界に寄せられる期待について、この15年で感じた変化についてまとめたいと思います。

ECMってなんだっけ?

ECM(JIIMAの訳語では統合文書情報マネジメント)とは、企業の文書情報管理の基盤を中央集権的に持ち各業務システムと連動させることで、一貫したポリシーに基づいた文書情報の管理を実現するコンセプトであり手法を意味します。これはかつて流行したIT業界3文字略語の特徴をそのまま備えた用語なので、ERPがそうであるように、手法・コンセプトを意味すると同時に、ツールとしてのパッケージソフトウェアを呼ぶ名前にもなっています。

過去

ソフトウェアとしてのECMは、技術的には3つの構成要素から成り立っています。(元々は2つでしたが、今では3つ目もほぼ必須と考えて良いでしょう)

  1. 文書ファイルを保管するファイルシステム(ストレージ)
  2. 文書のメタデータ(属性情報)を保管するデータベース
  3. 全文検索インデックス

の3つです。

「文書の本体と、その文書に関する付加情報(メタ・データ)を峻別しつつ一貫した管理ができること」という目的に即した構造です。紙文書のファイリングの文化を継承し、正しく分類整理することも重視されました。したがって、当時重視されていた機能は以下の様なものでした。

  • 階層化された整理構造に綺麗に文書を格納できること
  • 事前に明確に定義属性情報を一律に関連文書に割り付けること
  • 入力された属性情報に基づき素早く文書を見つけられること(後に全文検索も)
  • 各文書の最新版を明確化するための履歴管理と編集ロックができること

他にもそれまではサインや印鑑で担保されていた文書情報の確からしさを担保するためのワークフロー機能や、ユーザの行動履歴を保管する監査証跡などの機能もありましたが、それぞれにトレードオフがあり、すべてのユーザが利用するというところには至りませんでした。

現在

主にWebの世界が牽引したその後の情報システムの発展を受け、ECMのコアバリューも変化してきています。今、文書情報のより良い管理手法というものを考える時、紙文書のファイリングを踏襲したものとは異なる視点が導入されました。今、ECMに期待されている機能は以下の様なものです。

  • 文書と文書の関連性を保持すること
  • 後から定義された属性項目や任意のタグなどの動的なメタデータを文書に貼り付けられること
  • 他のユーザのアクティビティを把握できること
  • クラウドに文書を配置しデバイスを問わずアクセスできること

関連性

文書同士の関連付け情報はAlfrescoで言えばアソシエーション機能、いわゆるリレーションのことで、関連情報の使い方が業務毎にブレ幅が大きいため、以前はそれほど利用されていませんでした。しかし、例えば別々の組織・プロセスが主管している製造図面と施工図面を関連付けることで、メンテナンス時の障害から製品側へフィードバックを返すなどのフォロー業務の漏れをなくすことができたり、設計標準と設計図面を結びつけることで標準を更新したタイミングで影響を受ける図面を洗い出したり、ということができるようになります。

ECM製品は標準UIを持ち、そのままインストールしても文書の保管や版管理、アクセス権管理などのメリットを享受できる作りになっていますが、やはり他の業務システムの共通バックエンドとして利用されることでよりその効果が高まります。関連情報はまさに組織や業務を横断したトレーサビリティを実現する機能であり、その効能が理解されるようになるまでに少し時間がかかったということかもしれません。

動的なメタデータ

アスペクトやミックスインなどと呼ばれる、後付けの属性定義を実現する機能は比較的後発のものです。やはり、初期のECM製品はRDBMSへのマッピングが単純だったこともあり、(もちろん、業務ニーズが比較的固定的だったこともありますが)、こうした機能は提供されていませんでした。後付けが可能ということは、文書の分類(文書型定義)とは別に個別の文書に対して貼り付けることが可能ということでもあります。

しかしこの機能は、変化する業務要件に対して追随するための型定義を行っていくということなので、実務上はやはりハードルが高かったと言えそうです。かわりに、最近よく活用されているのが、タグ付けの機能です。

元々、伝統的な文書管理の慣習にのっとって綺麗な階層構造を持たせなくても検索機能さえ十全に備えられていれば管理精度は落ちない、という考え方が少しずつ市民権を得てきていたという経緯もあります。その上で、タグ付けによる情報整理の効能をyoutubeなどのコンシューマ向けのWebサイトで各ユーザが学習してきているので、アスペクトやミックスインのような学習障壁の問題がなく、実際によく活用されている機能と言えそうです。

弊社ではこれらの点も踏まえてNoSQLベースのECMを開発しました!!(宣伝)

アクティビティ

監査証跡はとにかくログを残しておいて有事の際に証拠や手がかりとして使おうというものでした。使うかどうかもわからない情報の記録に毎回コンピュータリソースを消費し、ストレージも占有するということもあって、よく吟味した上で適応を見送る、というケースも散見されました。

各製品のWeb化が完了した後の世代になるとWriteイベントは補足するがReadに関してはWebサーバのアクセスログで代替する、なんていうケースもありました。

SNSの台頭と、タイムラインビューの一般化を受けて、自分や同僚の直近の活動履歴を表示共有することのコラボレーション上のメリットが注目され、現在では監査証跡よりもこちらにより強い関心を持たれてるという印象です。(もちろん業務領域によっては監査証跡の方が有効であるケースはあります)

クラウド(とモバイル)

数年前まではECMベンダ各社ともクラウドは重要なトレンドだがECMへの適用は後回しになるだろう、と主張していました。現在では、クラウドに乗せるべきものは積極的に乗せてそのメリットを享受しよう、という主張が一般的です。

Dropboxライクな環境を業務システムの世界に導入するための、EFSSなんていうキーワードも出てきています。

ただ、やはりあくまでハイブリッド、使い分け、というのがECM業界全体のスタンスということではありそうです。すべてがクラウドに乗るわけではない、と。

弊社ではオンプレミスリポジトリに対してもファイル同期を行える製品をご提供しています(宣伝)

そして、未来

将来についても幾つか考えていることがあります。整理しきれていませんが、簡単に頭出しだけ。

まず、ソーシャル系の機能、例えばいいね!ボタンなどは現在の製品にも搭載されていて場所によっては使われています。しかし、その本格的な活用はまだこれからだと思います。

次に、アナリティクス系の機能、これも現在進行形の商談のスコープに入ってきているという認識ですが、やはりまだまだ発展途上だと考えます。ログや全文検索インデックスへの解析には一定の成果がありますが、機械の主張・助言を業務上どのレベルの「確からしさ」があると判断するのか、というハードな問題をこれから段階的に解いていく、というのが事の本丸ではないかと考えています。

次に、ソーシャルグラフとアグリゲーション。友達の友達まで開示、などという権限モデルは現在の通常の業務システムにはないものですが、「なんでも完全公開というのはナンセンスだが、なるべく共有は進めたい」という考え方はそれなりに一般的なものであるので、一定のニーズがあるのではないかと思います。さらに、アクティビティやここのコンテンツについても、自分以外のメンバーに「読んでもらう」「気がついてもらう」ということに意識的な仕組み作りの必要性もあるのではないかと考えます。詳細はまた機会があれば!

最後に、プルリクエスト。少し前に就労規則をGithubで公開、さっそくプルリクも! というニュースがありました。文書に関してもプルリクエストベースのコラボレーションの効能というのは間違いなくあると思います。問題は、差分ベースのコンテンツ管理というのは、ECMの基本思想とある意味で正面からぶつかるということですね。ECMは、広く多様な業務にかかわるコンテンツを抱え込むために文書本体には手出しをせず外側に管理情報を付加するという手法を採用してきました。対立するコンセプトとしては例えばXMLデータベースなどではタグ単位での差し替えなどが可能でしたし、ソースコード管理システムを下敷きにした差分管理に特化したソリューションなどもありましたが、これまでのところECM以上の成功を収めてはいません。もしかしたら単に早すぎただけかもしれませんし、中央集権的なリポジトリを実現するためにはやはり「中身」に入り込むと破綻するのが世の真理なのかもしれません。しかしながら、差分情報を複数のユーザが取り交わせるという業務スタイルの強力さは、人を引きつけるものがあると思います。これも深掘りすると長くなるので、詳細はまたということで・・・

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)

ECMGlyph

2015年7月6日月曜日

コンサルティング研修に参加できなかったので...

コンサルティング合宿に引き続き、日帰りのコンサルティング研修をやりました! という報告記事を書きたかったのですが、土曜参観とバッティングして参加できませんでした。(休日出勤イベントに役員不参加のブラック感、いやもちろん代休は出ると思いますけど…)

準備の様子を遠くの方からチラ見している中で、自分の中でのコンサルティングサービスのメンバーに対する期待事項みたいなものが見えてきた気がするので、ここにメモを残したいと思います。

私自身が社会人生活をコンサルタントとしてスタートさせたのが15年くらい前のことになります。正直言って自分自身の成長の実感というのはほとんどなく(今できることは中学生ぐらいの頃から全てできた気がする、と周囲にはよく言っています)、その意味ではうまいロールモデルなんか示せそうにないのですが、落ち着いて考えればさすがに幾つかはこの仕事をしてなければ気がつかなかったであろうこと、身につかなかったであろうこと、があるんだなと改めて気がつきました。

ということで、自社メンバーに一般常識として身につけておいて欲しいと思っているものを幾つか並べたいと思います。

WBS

プロジェクトマネジメントの基本ですね。我々新卒でコンサルティングファームに入社したような「自分自身の知識経験がそのまま売り物になるわけではない」コンサルタントというのは(逆に売り物にできる人達をグレイヘアードコンサルタントと呼ぶ、と新人の頃に習いましたが、その後その単語を目にしたことは一度もない気がします)、プロジェクト型のワークスタイルに習熟している、ということが第一の価値であると思います。

そのプロジェクトの基本となるのがWBSで、これが自分で作って、その製作意図をちゃんと説明できるかどうか、というのは仕事を任せてもらう上で非常に大きなポイントになってくるはずです。

時間管理のマトリクス

『7つの習慣』が出典らしい、と聞きますが多分未読なので(読んだような気もするんですが)、細かいところはわかりません。仕事を、「緊急度」「重要度」の2軸で分類しよう! って奴ですね。で、重要でないけど緊急な仕事ばっかりやって、仕事をしている気になってしまうのが一番危ないよ、と。ナレッジワーカーの生産性、なんていうテーマのお仕事も多いので、提案や顧客とのディスカッションでもよくでてくる概念です。

仕事上での立ち場によって見え方が違うツールかもしれませんが、自分の仕事の「重要度」がどのようにして決まるのか、という点で上位者の視点が織り混ざってくる、のが面白いところだと思います。

細かいTIPSとしては、緊急度ドリブンで仕事をしている現場の人に対するリスペクトを忘れないようにしたいですね。

GTD

Getting Things Doneです。仕事術的なものとしてはもはや常識の類いな気もするのですが、意外に周囲にも細かい出自等は知らない、という人が多かったので、念のためにWikipediaへのリンクをはっておきます。

要するにToDoリストを使いこなせるようになるための条件が現代的な形で整理されている、ということなんだと思っています。もの凄く乱暴な説明をすると、紙の手帳でもスマホでもWeb上のサービスでもなんでもいいから、すべての作業が登録されているという「信頼できるシステム」を1つ持てば、ToDoリストを頭から追い出すことができる。そのメリットは非常に大きい、と。

個人的にはMailboxにすべての仕事を集約する運用をしています。私にとっての「信頼できるシステム」はGmailインボックスっていうことですね。同名のGmailにそれこそ同様のアプリがありますが、今のところDropboxに買収されたこっちの方のツールを使っています。(自分自身起点のタスクは自分へのメール送信で起票という前世紀的なライフハックでもあります…)

ただ、この運用が成り立っているのは、今現在の私がぐるっと回って個人で完結できる仕事ばかりになってきてるから、に他ならないと思います。他人に依頼した仕事の顛末のトラッキングが重要なポジションである場合は、ちょっと最適なツールであるとは言い難い気がします。

結び

3つ並べたもの全てが、仕事に対する上での「立ち場」に依存するというか、それを意識するきっかけになったり、そうすることでよりちゃんと使いこなせるようになる、という性質を持っているのが面白いかな、と個人的には思いました。(ま、大抵のツールはそんなものかもしれないですけど)

ということで、次はBPMこそ組織のためのGTDであるみたいな話を...

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)

2015年6月16日火曜日

今年も超交流会に行ってきました

NewImage

ということで、前回予告した通り、京大情報学同窓会 超交流会に行ってきました。

予想を上回る大盛況

最初から最後まで話を聞いてくれたのは、2人かな。それでも歴代最少にはなってないらしいです。恐ろしいイベントだ…

旧交を温めることもできたし、仕事上でもストレートに参考になる話も聞けたので、もちろん行って良かったですけどね!

印象に残った話

と言ってもこういう所に書いてよいものかどうか悩ましいのも結構ありました。

佐賀県の救急車にiPadを載せた話の詳細パワーアップ版の裏に垣間見えた、アイドル研究会の矜恃とロマサガ世代の拘り(こちらはプレゼン以外のところで聞いた話ですけど)は熱かった。この話はあちこちで吹聴したい。

もう1つは、「闘争」としてのサービスの山内先生の講演。

サービスは高級になるほど、笑顔、情報量、迅速さ、親しみやすさなどの所謂「サービス」は減少します。これらの「サービス」はサービスの本来の価値を低下させます。

寿司屋での客の緊張感などを、定量的に分析していった話が本当に面白かった。この闘争の構造に対する感度には個人差があるよな、っていうのが店員恐怖症患者としての反射的な感想だったけど、お仕事的にはこの議論がSIやコンサルなどの「サービス」に関する組織的購買活動に対して当てはめるとどうなるのか、がもの凄く気になるところ。

でも、すきやばし次郎のエピソードで始まって、「(お造りを)切りますか?」に対して「はい」はWrong Answerで、何を出して欲しいかちゃんと答えないといけない、その時点で不慣れな客と見なされる、、、なんて説明が入ると、ニンニクいれますか?という呪文だけが脳内を駆け巡ってしまいますよね。

突っ込み待ちかと思いながらも、耐えきれずについ質問して確認しちゃいましたけど、確かにラーメン二郎の話はよくこのテーマを聞いた人からは言われるらしいです。が、二郎プロトコルに対してそこまで明確な意図があったわけでもないそうです。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)

2015年6月3日水曜日

セミナー続き

JIIMAセミナー2015 クラウド・ビッグデータ時代の文書情報マネジメント~加速する紙から電子の社会~: "AIIMカンファレンス視察で捉えた米国ECM業界の最新動向と方向性"

またまた、間が開いてしまいました。5月はまるまるお休みだった格好ですね。

↑のリンクにある通り、先日JIIMAセミナーでAIIMカンファレンスについての報告をしてきました。月刊IMへのレポート提出も済んだのでようやく一段落と言ったところです。(ちょっとペースがのんびりしすぎてる気もしますが)

今月は、本日自社で開催するミニセミナーに加えて、京大情報学同窓会超交流会もあるので、なにやらセミナー続きという印象です。喋ること自体は嫌いではないのですが、人前となると緊張してしまうので、講師仕事は全く得意ではありません。上手な人達に聞くと、とにかく練習・リハーサルが大事ということらしいんですが、そういう事前の準備をしっかり積み上げていく、という行為自体が、人前で話すことよりももっと苦手なので、どうしようもありません。

派手なところに地味な話をしに行きます

というわけで、超交流会に対する意気込みなのですが、私の講演タイトルは「領収書が『PDF保存』で良くなるゾ! (仮)」です。先輩に(押し)つけて頂いたものに何の反応も返せぬまま今日に至ってしまったため、(仮)すら取れていません。地味なテーマに勢いだけ乗っけて頂いていますが、他の講演プログラムにIoTだとかグローバルスタートアップだとか「未踏」経験者だとか、見目麗しい感じのキーワードが並んでいるのに比べると恐ろしく地味です。本当に聞きに来てくれる人はいるのでしょうか?

(本当に正直なことを言うと、私は同じ時間に設定されている講演を聴きに行きたいです。2つあってどっちも魅力的)

話す内容はこれから考えますが...

e-文書法関連の税務関係書類スキャナ保存の要件緩和、というJIIMAとしても今最も熱い話題を中心に話をすることはタイトルがこうなっている以上間違いありませんが、果たして超交流会に来るような人にとって興味がある話題かというと、なかなか難しい気もします。(あえて、魅力的な他の2つに行かずにこちらに来るという意味では、それはそれでありな気もしますが)

前回の超交流会では、B2BのITビジネスについてのパネルディスカッションに参加させてもらい、その後も色々とフィードバックをもらって勉強になったので、もう少しそちらの方面の話を膨らませたいという気持ちもあります。

昨今では食傷気味の話題である日本のSIer中心のIT業界の構造、ガラパゴス云々のテーマとも近くなりますが、スキャナや文書管理の業界から見ることによって際立つ日本市場の特徴というのもあるので、そのあたりを具体的に紹介できれば、なんてことを考えています。

ということで、当日お会いできる方、よろしくお願いします。(こっちに来てね、とは申しません。あくまで)

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)

2015年4月8日水曜日

AIIM Conference 2015 今年も行ってきました

AIIM Conference 2015 - About the Event: "Digital Transformation: Embrace the Chaos"

(Via aiim.)

また、かなり間があいてしまいました。その上、カンファレンス出席からも結構な時間が…

恒例の定点観測に

JIIMAのECM委員会からの派遣という形で、今回も米国はAIIMのイベントに行って参りました。今回で3回目です。(今回からは立ち場が委員長なので、自分を派遣するっていうのが、ちょっと微妙な気もしないでもなかったのですが、年度末の忙しい時期に身体を空けられるという点でご理解を得ました)

今回の会場はサンディエゴです。過去2回が、ニューオリンズとオーランドでしたし、次回もニューオリンズらしいので、この手のカンファレンスの会場としてはある種の定番ということなのかもしれません。暖かい、良いところでした。

カンファレンスの全体については、今では電子配信されている月刊IMにそのうちレポートが載る予定ですので、特に気になったところだけご紹介できればと思います。

ECMは斜陽産業か?

過去参加した2回では、記録管理は死んだ記録管理という実験は失敗に終わった、なんていう煽りを含んだプレゼンがありました。今回も、ECM悲観論に対するカウンターの様な発表で面白いものがありました。ECM Is Not Doomed for Failure、リンク先資料の15ページ目「『ECMの死』の歴史」、です。

今まで3回、ECMの終わりを告げるがあった、と。

最初の波はSharePoint

高額な伝統的ECM製品群に比べて桁が違う価格帯の製品で、しかも当初は「簡単」という触れ込みでした。確かに、データベースやアプリケーションサーバの設定をそれぞれ行った上に高可用性を実現するミドルウェアやユーティリティの設定まで行わないとインストールすらままならない、いかにも手間がかかりそうな製品と、Microsoftとの間に適切な契約さえあればウィザードにチェックをつけるだけで導入できそうに見えるSharePointの比較において、比較的「簡単」であるということに嘘はありません。管理者に求める人物像やその所属組織などを勘案すると、このメリットは今でもなくなってはいないと思われます。

しかし、ECM導入の難しさは何も技術面、それもインストール時のそれだけではないので、SharePointが安価で簡単に手に入るようになったからと言って、ECM製品の存在意義がぐらつくようなことは結果としてはほぼ起きなかった、と言えそうです。

(このテーマについては、AIIMが積極的に「ECMとしてのSharePoint」という議論をリードしていった経緯であるとか、日本において文書管理系の利用があまり進んでいないように見えることなど、論点はまだまだ色々ありそうですが、ここでは割愛します)

次の波はソーシャル!

AIIMなどの情報源にあたっていると、ECMの利用方法としてコンプライアンス対応や統制(コントロール)方面の「堅い」利用法と、コラボレーションやエンゲージメントなんていう生産性向上や情報共有などの「柔らかい」利用法の2つが併記されることが多いように思います。また、元々は堅い基盤だったもの土台として、柔らかい方へ手を伸ばしていった格好である、という点も業界の人にはある程度共有されている見方だと思います。

まず、堅い要件なども安定し、説明責任も果たしやすい適応領域があり、エンタープライズワイドにコンテンツ管理を一本化するという理念を追求したり、適用範囲を広げてビジネスを拡大するために、その後の展開があった、と。(ソフトウェアビジネスとしてのECM業界の変遷を眺めた場合のことを言っています)

折角入れたシステムも使われないと意味が無く、堅い仕組みは面倒くさいので余程のモチベーションか強制力がないとなかなか使ってもらえない。だからこそECM業界ではAdoption、利用・受入の推進が常に問題となっていました。

ソーシャル系の技術はまさにそこに対する回答であると同時に、システムアーキテクチャ自体が堅い要件前提で中央集権的に作られた伝統的ECM製品のそれを否定する可能性があるものでした。その点で、ソーシャルソフトウェアがECMの死を呼ぶ、という話には一定の説得力があったのですが、YammerにしてもJive!にしても現時点ではそれほどの影響力を発揮するポジションには着かなかった、ように思います。

今はクラウド、ファイル同期の時代

前回のAIIMカンファレンスでも度々話題になったDropbox問題です。エンタープライズ系でもDropboxが優勢というニュースが流れたり、box社の展示面でのプレゼンスが落ちて、ECMベンダのEFSS エンタープライズ・ファイル・シンク・アンド・シェア ソリューションが出揃ったり、という変動もありましたが、やはり今アメリカのレコードマネージャや文書管理系ソリューションのプロバイダが最も気にしているテーマはこれだろうと思います。

プライバシーやコントロールの問題ももちろんありますが、利用推進という意味で強力なソリューションであることは間違いありませんし、ECMの様な(社内)中央的な考え方とスタート地点ではかなり距離を持っているということが逆に「社外とのコラボレーション」という積年の問題の解答たり得ることの期待感に繋がっているという印象もあります。

そういう意味ではECMリポジトリそのもののクラウドオファリングよりも、EFSSの方がより喫緊のテーマとして扱われている印象でした。(単なるクラウドデプロイメントは今更話題たり得ない、という気もしますが、やはりECM業界は製薬金融をはじめ法的要件がややこしいところも多いので、それほど単純ではないはずなので)

(この件に関してはもちろんCmisSyncとの関係を語りたいところですが、長くなりすぎたのでやはり割愛します)

そしてアナリティクス

AIIMは基本的にはミーハーというか、新しいもの好きな傾向があると思うのですが、それにしてもインサイトであるとかアナリティクスというキーワードの台頭ぶりは印象的でした。

情報カオスに対する統制、対応策として、技術面からできることを考えていくと、自然言語処理や機械学習などの領域との接近がもっとも自然である、ということだと思います。

現行のオファリングとしてはやはりIBMのバンドル商法(?)がコンセプトの完全性という意味では先行している印象ですが、今後蓄積する情報とそれを分析するための手法ツールの進歩のスピードを考えるとそのアドバンテージは現時点ではなかなか決定的なレベルにまでは到達しえないのではないかと思います。

アナリティクスは、そこから引き出した結果を行動に結びつけなければ意味が無いわけで、文書管理領域におけるそのルールメイキングというのは、中々タフな議論を要求するものであるに違いありません。そういう意味では、素直に今後数年の展開が愉しみである、と思える視察だったと言えそうです。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)

2015年3月4日水曜日

ECMサミット、やりました!

JIIMA ECM委員長としてのお仕事のご報告です。

先日、2月25日に恒例の第11回となるECMサミットを開催しました。今回は、OnBaseのHyland Softwareさん、LivelinkのOPENTEXTさんという専業ベンダ2社、IBMさんとOracleさんのビッグベンダ2社、にご参画頂きました。

そもそもECMサミットって?

公益社団法人 日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)のナレッジ系委員会であるECM委員会が主催する、セミナーイベントです。競合関係にある主要ECMベンダが呉越同舟的に同じテーマに沿ってプレゼンをするという特徴を持っています。概ね年に2回ほど実施しています。今回のような冬開催枠では例年キヤノンマーケティングジャパン様から会場をお借りしています。(もう一方はJIIMA最大のイベントであるe-ドキュメントJAPANにあわせて開催しています)

今回のテーマは?

11回目ともなると恒例行事です。今回は、これまでのECMサミットのテーマの遍歴とアンケート集計結果などを参考に、少し変化球的なテーマを設定しました。~主要ベンダー、インテグレータが振り返る成功事例~ECM導入プロジェクトの落とし穴です。このテーマには3つの狙いがありました。

  • 事例紹介がもっとも集客力のあるコンテンツである
  • 泥臭い具体的な話を聞きたいというニーズに対してプロジェクトの立ち場から応えることができるかもしれない
  • プロジェクトの担い手であるインテグレータの視線から語ることで参加ECMベンダに対して立体感のある描写ができるかもしれない

セミナーイベントをやるからにはたくさんの人に聞いて欲しいですし、我々は「普及啓発」をミッションとする委員会ですので、その趣旨においても集客力は重要なポイントです。とはいえ、呉越同舟的なイベントという特殊性のこともあり、ベンダ各社の発表の負担を大きくすることも避けたいところです。どうしても営業・マーケティング部門を通じてご相談させて頂くため、製品のメリットを解説する講演になりがちで、実際そうした指摘も度々なされてきました。(これは我々が技術を軸に集まっている集団であって特定の業種のお客様を集客する器ではない、という点からくる面ももちろんあります)

今回は、各社のパートナに客観的になぜその製品・会社をパートナに選んだのか、なんていうスタンスで語ってもらうことで、このあたりのハードルを少しでも躱していきたいと考えました。また、事前の説明無く当日各コマの前に「他社との違いを一言で説明して下さい」というリクエストを入れることで、串刺しできる視点を持ち込むという試みにも(勝手に)チャレンジさせてもらいました。

どんな講演があった?

いくつかの資料はECMポータルからダウンロード可能になるので、そちらを見て頂くのが良いかと思います。各社、事例の具体性も、発表の分担の仕方も、成功要因と考えている部分やその表現の仕方も、それぞれに異なっていました。ただ、あえていうのであれば、やはり専業ベンダとビッグベンダの間の違いが大きいという印象を私は持ちました。

講演のタイトルは、専業ベンダ2社のものが「業務は現場で起きている」「ECM実践例とプロジェクト成功のための勘所」という非常に抽象的なものである一方で、ビッグベンダ2社は「いよいよ公開!保険会社における先進ケース管理」「国内グローバル製造業が実現した販促物の配信と効率的なマスター管理」というかなり具体的なものを掲げていました。

このあたり、ECM(OPENTEXTさんはそれを拡張したEIMのコンセプトを打ち出していますが)を専門としているか、自社ソリューションラインナップのあくまで一部分として捉えているか、という違いがよくでていたと思います。

しかし、専業ベンダ2社の発表内容が抽象的だったかというと、もちろんそんなことはありませんでした。専業ベンダとしての蓄積と自信から抽出された言葉というのは、結果として抽象的な表現になるんだな、という感想を持ちました。Hyland SoftwareさんとパートナPFUさんの発表は、(紙からの)電子化文書についての多数の経験からでてきた具体的な「検討漏れ」のお話でしたし、OPENTEXTさんとパートナであるキヤノンマーケティングジャパンさんの発表は短期間では実現不可能な統合管理のメリットをいかに具体的に道筋をつけて実現していくのか、という示唆に富んだものでした。

対する2社の発表は、まさに満を持した形で発表された先進ケース管理(動的ケース管理、アダプティブケースマネジメントなどとも呼ばれます)の国内事例と、誠実にメタデータ設計を考えるときに常に問題となるマスター管理という、いわば玄人好みなテーマでした。さらに、Oracleさんの発表の実態はさらに検索性能への拘りという、非常にテクニカルである一方でエンドユーザの理解という意味ではかなり重みのあるテーマを扱ったものでした。

まとめ

さきほど、アンケートの集計がようやく終わったのですが、お陰様で過去の実績とくらべても好意的なフィードバックを多く頂いてるようでした。ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。残念ながらご参加頂けなかった皆様、次回は是非よろしくお願いします!

次回は、今月18日からのAIIMカンファレンスについてのお話になると思います。

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)