2014年10月25日土曜日

経営情報学会で発表してきました。

新潟に来ております。
お邪魔し始めてからそろそろ1年ちょっとたつIT資産価値研究会(経営情報学会の部会になっているんです)の方々と一緒にグループ発表をしました。

 
見るからにマニアックなテーマですが、一応真面目に検討をしています。業務システムのコンサルティングの現場では、経営層や、あるいは時としてプロジェクト首脳部が、十分な技術的裏付け無しでの意思決定をしているようにしか見えない場面、というのに出くわすことがあります。少なくとも、現場レベルではありふれた愚痴の一つと言えると思います。

現場サイド、技術サイドが常に正しいとは限りません。それぞれの立ち場から見えるものだけを材料に判断せざるを得ないのは誰にとっても同じです。ただ、より上位の意思決定者の方が、単純な広さ(深さ、ではなく)という意味で、現場からは見えない幅広い情報(懐具合とか)を含めた意思決定をしているだけです。そういう意味では「大人はわかってくれない」式の愚痴でしかないのかもしれません。

大人は子供だったことがあります。子供はまだ大人になったことがないわけですから、ここには非対称性がある。しかし、どの大人も「今日の」子供であったわけではない。それに、忘れてしまっていることもありますし、単にしがらみが増えて自由度が落ちていることもあるわけですから、常に大人の方が正しくものを見てると考えるのは危険です。

ITシステムの話に戻すと、意思決定者であるビジネスサイドが適切な技術レベルの効果やリスクを理解できてないケースが非常に多いのではないか、という問題意識があります。(コストについては、こういう相互不理解はほとんどないと思いますが)
その最たるところが、技術的負債というものに対する評価だと思います。これは(原義とは異なりますが)ビジネスサイドの要望に応えるために、技術サイドが抱え込む「負債」です。負債なのにその意味がわかっているのは技術サイドだけ、という構造です。

そこで、「初期費用をケチらずに良い設計をしたら、後でどれだけ良いことがあるのか」を定量的に評価する試みをしてみました。題材は、初期費用をかけて開発段階でモジュラー化を十分に検討し、疎結合なアーキテクチャを採用すると、後の改修時(ビジネス環境の変化スピードが高くなればなるほど、多く発生するはずです)に、修正点を絞り込めるので工数もそれだけ減る。という構造をそのままモデル化しています。

まだまだ、こういう前提を勝手におくと、5年くらいでトータルコストが逆転するよ、とかっていう話しかできていませんが、ゆくゆくは現実のメトリクスなどを参考にしながらモデルの精緻化をしてみたいと思います。

その後で、(ECMやポータルエンジンなどの)筋の良いプラットフォームを導入することのメリットを定量的に説明できるようにして行きたいです。いつになるかはわからないんですが…

(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)