3回連載の形になってしまいました。最終回の今日は、8個と換算すれば7つ目と8つ目にあたるところをご紹介します。実際にはそれぞれ派生的な話題が1つずつぶら下がっているので、全部で4つになります。
「CMIS」もちろん、この話題は避けては通れません。過去2年間OASISの標準化プロセスに付き合った経験から、関与するプレイヤの数が多い場合は、何事も楽観的になりすぎないよう注意する必要がある、と念を押しながらも、2010年にはCMISはますます大きなインパクトを示すだろうとしています。CMISは伝統的なECMベンダにとって、機会であると同時に脅威でもあります。SharPointへの移行を促しうることに言及しながらも、DBMSにおける標準化(SQL)の結果と同じ事がECM業界でも起きると期待できるだろう、と。加えて、Alfresco関連のシステム連携プロジェクトでは、今の段階から原則的にすべてのプロジェクトでCMISの採用を推奨しているとも付け加えています。Drupal、Joomla、Confluenceとの連携はすでに実現していますし、これから他のツールとの連携もますます加速することでしょう。将来対応を考えてもCMISの採用をRFIおよびRFPに織り込むことを推奨しています。多少我田引水的な部分もあるとは思いますが、RFPということを考えるとCMIS対応リポジトリ、という共通の枠組みで製品や提案を比較できるというのは意味があることですよね。
「コンテンツプラットフォームとコンテンツアプリケーション」かつてGartnerと”何をもってECMのビジョナリとするか”という奇妙な議論をしたことがある、と切り出して、高いお金を払ってCEVA(Content Enabled Vertical Application)を購入することが条件だ、という話になっていた、今はそれがComposite Content Applicationという名前になっているかもしれないが、いずれにしてもおかしな話だ、と言っています。(本当はSharepointを引き合いに出して色々と言ってるんですが割愛します)。CEVAにしてもComposite Content Applicationにしても、ECM製品をプラットフォームとして扱う形式であることは同じで、プラットフォーム(あるいはミドルウェア)としてのECMという考え方がますます重要性を高めていく、というのがこの項目の趣旨になっています。ECMはERPやCRMよりもDBに近いものと考えるべきだろう、と言ってます。この辺りは技術寄りの人らしい言い切りですね。その上で、今その方向性を加速する傾向として、CMISによるプラットフォームスタイルのAPI整備・マッシュアップニーズの高まり・サービス統合アプローチのコストメリットの明確化、などを挙げています。
「オープンソースによって奇妙な友情が生まれる」タイトルはAdversity makes strange bedfellows(不幸・逆境が縁で奇妙な友情が生まれる)のもじりです。Alfrescoとしての5年間の実績と、CMISの台頭によりDrupalやLiferayなど以前であればカバー範囲が重なっていることが懸念された製品とのコラボレーションがどんどん自由にできるようになってきた、と言っています。連携の事例はますます増える見込み、と言いつつポータルとの連携は常に求められているという考えを示していて、このあたりは我々の感覚とも一致しているような気がします。
「ソーシャルソフトウェアとECM」ソーシャルソフトウェアをECMベンダから購入すべきか、という問いに関しては、結論は恐らくノーだろう、と言っています。ECMベンダはコンテンツコラボレーションの部分に特化して製品・サービスを整備すべきで、そのメリットを十分に認識した上でソーシャルコンピューティングの連携を考えていく、というやり方を推奨しています。やはりこの項目についても盛んにSharePointに言及していますが、やはり割愛してしまいましょう。2010年の予測としては近年のソーシャルコンピューティングの盛り上がりに言及せざるを得ないというのはわかるのですが、あまり具体的なビジョンが示されているわけではないように思いました。
全体を通しての感想としては、
- SharePointが強く意識されている
- CMISに絡んでプラットフォームとしてのECMが強調されている
- クラウドやソーシャルコンピューティングなどのバズワードとの距離感に苦慮している
という感じですね。(間接的な表現が増えてしまって可読性が低い記事になってしまいました。今後はもうちょっと紹介記事の表現方法を考えないといけませんね)
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)