昨日の続きです。
「ECMのE、エンタープライズ」エンタープライズという表現自体が若干時代遅れな面がある、と指摘しています。それは90年代の用語で、大規模・パワフル・柔軟であることを意味すると同時に大規模・不細工・高価を意味していて、昨今の高機能なWebサイト上のサービスが比較的低価格な技術の組合せでとてつもない数のユーザ数を捌いている現状を考えると、マーケティング上もあまり魅力的な表現ではなくなっている、と考えているようですね。ただし、ECMが直接いわゆるソーシャルメディアによって駆逐されるかというと、そうとも考えておらず、そのあたりの問題は「コンテンツプラットフォームとコンテンツアプリケーション」の項目で掘り下げたい、としています。
「WCMとECM」ECMが90年代前半に、WCMが90年代後半に産まれて以降、この2つのコンセプトは常に奇妙な関係性の中にあった、、、という導入からはじまって、WCMがその製品の価値は別としても単体のビジネスとしては成り立たず、当時のビッグプレイヤがすでに買収されて独自のブランドを維持できていない、ということをまず指摘しています。それとはまた別に、彼はWCMの方が数多くの製品がひしめきあっているというイメージを持っているようですね。多くのプレイヤ(そしてAlfresco自信も!)WCMとECMの両方の製品サービスを提供している状況下において、その役割分担をうまく整理することはかなり難しいことだと思います。この記事では、企業システムの多くがWebアプリケーションになっている現在では、WCMは「アプリケーション」の管理システムになり得る、という点に注目し、その方向こそがWCMとECMを連携させるモチベーションになる、としています。だからこそAlfrescoのWCMはSpringベースのJava Webアプリケーションをメインのターゲットとしている、とも語っています。それ故DrupalやJoomlaとAlfrescoを連携させるメリットもある、と補足しています。Drupal連携はCMISを経由してAlfrescoをDAMとして使うことが多いようなので、この主張とは整合が取れていますが、Alfresco WCMがSpringベースのWebアプリケーションサイト専用だと解釈されてしまうのは苦しいんじゃないかと思うのですが・・・(Alfresco WCMの仮想サイト機能を使って静的なサイトを多人数で管理する場合のメリットも十分説得力があるものだと思います)
「クラウドとECM」バズワードの取り扱いは難しい面がありますが、まず2年前オンプレミスと比較してクラウドはコストが1/3になると言われていた、としています。今では1/5から1/7なんだそうです。カリフォルニア大学のレポートによれば、と言っています。これは元情報をあたってみたいですね。そして、多くの人が2010年をクラウドの年と考えているのと同様、彼も2010年はECM on Cloudが始まる年だとしています。Steve Ballmer氏がSharePointをMicrosoftのクラウド上で展開していくと昨年10月のカンファレンスで発表していますし、もちろんAlfrescoもクラウドプラットフォームに関する発表をいくつかしています。
残り4つは来週の火曜日に紹介したいと思います。WCMやSharePointに関しては他の論者はまた別の観点から色々と予測を発表しているようなので、John Newton氏以外の予測も追って紹介できればいいな、と考えています。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)