2011年4月29日金曜日

Trying out Activiti: Examples that leverage Alfresco’s new workflow engine | ecmarchitect.com


The concepts and terminology aren’t terribly different from jBPM, so if you’ve used jBPM, you’ll be familiar with the basics of Activiti in no time.

[From Trying out Activiti: Examples that leverage Alfresco’s new workflow engine | ecmarchitect.com]

Alfresco Community 3.4eに新しいワークフローエンジンであるActivitiが同梱されたことを受けて、これまでいくつものAlfresco関連のエンジニア向けチュートリアルを配布してきたJeff Potts氏(現チーフコミュニティオフィサー)が紹介記事を書いています。


彼の著作Alfresco Developer Guideに掲載されたjBPMベースのワークフロー定義をActivitiに移植しながら、細かい比較などをしています。連休があけたら、この記事の内容を細かく追っかけて日本語解説記事にしてみようと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)




2011年4月26日火曜日

Per AIIM Survey, Dealing With Content Chaos Key Issue for Organizations - Digital Landfill


The overriding trigger to initiate a new or replacement ECM project is that content chaos is getting out-of-hand.

[From Per AIIM Survey, Dealing With Content Chaos Key Issue for Organizations - Digital Landfill]

AIIMの調査のダイジェストがプレジデントであるJohn Mancini氏のBlogで紹介されています。(本文はAIIMのサイトからダウンロードできます)


「あなたの組織において新しいECMシステムの構築計画の最も強い動機となる(単一の)要因は何ですか?」に対する回答のグラフが示されています。回答数143件で、新規とリプレースの両方を対象とした質問ということです。


1位は20%を超えた回答を集めた、



  • 「コンテンツの混沌状態がいよいよ手を着けられなくなりつつあり、またそれをコントロールしなければならない(Our content chaos is getting out-of-hand and we need to control it)」


です。続く2位から4位が、



  • 「システム統合計画の一環として(We are consolidating our existing systems)」


  • 「遠隔拠点・家庭・外出先からのユニバーサルアクセスを実現するため(Need to provide universal access in branches, at home and on-the-move」


  • 「コストを削減し、効果を高めるため(Need to cut costs and improve efficiency)」


というもので、このあたりまではそれぞれが10%以上の回答を得ています。


Mancini氏は、この結果に対して、多くのユーザがコンテンツの混沌状態(Content Chaos コンテンツカオス)による非効率とリスクについての理解を深めてきている証拠だろうとしています。また、次に来る動機から、レガシーシステムよりも現代的なECM基盤の方が理に適っている面が強調されていると見ているようです。


結果について驚くべき点はありませんし、Mancini氏の分析も妥当なものであるように思います。すくなくとも、こういう設問のアンケートに対しては多くの人がこのように答えるであろうし、その背後にある考え方も氏の分析した通りでしょう。しかし、ECMビジネス、それも日本市場においての現場の感覚としては、やはりECMありきでシステムのプランニングをする、という前提はそのまま適用できないのではないかとも思います。


例えば、この調査でも5位以下の回答を列挙してみますと、



  • 「増え続ける業界規制や訴訟などコンプライアンスの課題がある(We have compliance issues with increasing industry regulation and litegation litigationのtypo?)」


  • 「コラボレーションとプロジェクトコーディネートを改善するため(Need to improve collaboration and project coordination)」


  • 「ナレッジ共有を最大化したい(Keen to maximize knowledge-sharing in the business)」


  • 「Sharepointを文書管理にも活用したい(Want to use Share Point for document management)」


なんていうもう少し個別の課題(訴訟対応、コラボレーション、ナレッジマネジメント、既存の基盤を使った文書管理の強化)が挙がっています。


どちらかと言えばこれらの問題意識の方が日本のお客さんから明示的に引き出せることが多いと感じます。それもあってか国内では、個別のそれぞれの目的に合致した単独ソリューションの導入というシナリオが幅をきかせることになってしまっています。もちろんこれは単純に悪いことではなくて、例えばコラボレーションについては国産の(ECMスイートと比べてかなり低価格な)使い勝手の良い製品が育っていますし、情報漏洩を防止するようなソフトウェアも海外製よりも国産のソフトウェアが大きなシェアを持っているケースが沢山あります。ただ、ECMコンセプトのようなシステムの全体像からトップダウンで設計しようとした場合、あるいは多くのシステムとの連携を行わなければならない場合、あるいは単純に大規模なデータを取り扱う必要がある場合などに、大きなギャップに直面するという状況が生まれてしまいます。


Alfrescoも去年一昨年あたりから、明確にECMを基盤とした上で各個別の課題に具体的にアプローチするようなユースケースに向けた機能強化やアピールに力を入れています。率直にいってそれぞれの領域で国産の製品を超える使い勝手をAlfresco製品単独で実現するというのはほぼ不可能だとは思いますが、2年前に比べて着実に差は埋まってきていると思います。今後はそのあたりの国内でのアピールと、今期のコンセプトであるソーシャルを上手く絡めた情報発信をしていきたいと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)




ectoの日付指定


ブログエディタにectoを使用しているのですが、時々ブログの投稿に誤爆することがあります(笑)。


[From ectoの日付指定バグにご注意ください | NSP-momo blog]

ectoを使っての編集は便利なことは便利なのですが、記事の書きためがうまくできない、という問題がありました。


公開日付を指定したつもりでもectoから送信すると、その時点で記事が公開されてしまうのです。そこで、ブラウザで管理画面にアクセスし、一度公開されたものを下書きに戻してから日付指定公開をする、という間抜けなことをここ数日繰り返してきました。


同様の問題をかかえている人が日本にも僅かながら存在するらしく、NSP-momo Blogさんの記事を発見しました。回避策を示されているので試してみたいと想います。でも、なんとなく駄目なんじゃないかという気がしています、、、


 


#駄目でした。日付データ自体は正しく送られていましたが、公開状態になってしまいました。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月23日土曜日

Alfresco Enterprise 3.4.1のリリースと日本語対応

つい先日、Enterprise版も3.4.1(3.4SP1)がリリースされました。3.4の代からはAlfresco社の中にローカライズの責任者がアサインされており、主要言語(含む日本語!)のランゲージパックが常にEnterprise版にも同梱される形になりました。残念ながら欧州ベンダであるAlfrescoにとって日本語は若干ハードルが高く、3.4.0からは漏れてしまいましたが、ついに今バージョンからは無事同時出荷がされるようになっています。


私も事前レビューに参加するなどしてきましたが、曜日表示が少しおかしくなるなど、まだいくつかの問題が残っているようです。初回起動時に設定される固有フォルダの名前などでなければいつでも簡単に修正できる問題ではありますが、、、


というわけで、翻訳の担当者も変わり、訳語がいままでとは大きく変わっています。Company homeはカタカナでカンパニーホームになりましたし、Data Dictionaryもデータ辞書になりました。(実はバージョン1.1の初期段階では、同じ「データ辞書」だったりもしたんですが)。My Alfrescoは「あなたのAlfresco」です。


個人的には無理にカタカナにせずに英語表記を残す方が好みではあるのですが、やはりローカライズの不徹底(=低品質)という印象を与える可能性もあるので、常に議論のあるところではありました。


いずれにしてもダウンロードしてすぐに試せる、という特徴が日本語環境でも通用するようになったことは非常に喜ばしいです。クラウド上のデモも順次対応してもらえそうです。これにより、さらに紹介できる先が広がっていくことを期待しています。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月22日金曜日

Alfresco Provides First Community Release w/ Activiti BPM Integration


“The replacement of jBPM with Activiti in Alfresco is just the beginning. It's the start of a seamless integrated environment that combines Enterprise Content Management (ECM), Adaptive Case Management (ACM) and Business Process Management (BPM)," said Tom Baeyens, Activiti Project Lead. "Moving forward, our new case management vision will focus on taking BPM out of its niche and opening it up to a much wider audience, fostering an environment for even greater innovation.”


[From Alfresco Provides First Community Release w/ Activiti BPM Integration]

実はEnterpriseも3.4.1がリリースされているのですが、そのことよりも先にCommunityの最新版についてご紹介を。


Alfresco Community Editionの最新版、3.4eがリリースされています。今回の目玉はなんと言ってもワークフローエンジンActivitiの採用です。当面互換性のためにjBPMも同梱され続けるようではありますが、グラフィカルなデザイナを持ち、BPMNに対応しているActivitiの使い勝手にはかなり期待がもてるのではないかと思います。(できれば、Alfresco関係なくActiviti単体でも仕事をしてみたいですね)


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月21日木曜日

チーフコミュニティオフィサー


My mission is essentially to make the Alfresco community an example for all other commercial open source companies to follow.


[From ecmarchitect.com]

ecmarchitect.comのJeff Potts氏が、Alfresco社に(再び)ジョインすることになったそうです。(一方で、PodcastingなどをしていたLuis Sala氏はAlfrescoを退社したようですね、そういえば)


彼はBlogでAlfrescoのカスタマイズのチュートリアルを公開したり、開発者向けの書籍を執筆したり、と精力的に活動してきた人で、かつて勤務していた会社がAlfrescoに買い取られた関係で一時的にAlfresco内部にいたこともあったようなのですが、この度、「チーフコミュニティオフィサー」という肩書きでカムバックした、ということのようです。(Apache Chemistryプロジェクトなどでの仕事は継続すると言っています)


冒頭の引用部分はこの人事について彼自身が語っている記事のものですが、「Alfrescoのコミュニティを他の商用オープンソースソフトウェアのお手本になるようなものにする」というミッションを掲げています。Alfrescoは特に「商用」のオープンソース製品という色合いが強い製品であり、会社ですので、これはなかなか面白い問題設定だと言えそうです。今後の展開が本当に楽しみです。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月20日水曜日

今こそ“知識の管理”を復活させよう|コラボレーション文化を生み出すソーシャル・ネットワーキング - CIO Online


読者を含め、世界の5億人以上の人々は「Facebook」を「オンラインで友人とつながるための場所」だと理解しているだろう。「ところが会社においては、Facebookの各種ツールは企業の成長のための要となる」と、FacebookのIT担当ディレクター、ティム・カンポス氏は話した。


[From 今こそ“知識の管理”を復活させよう|コラボレーション文化を生み出すソーシャル・ネットワーキング - CIO Online]

CIO Onlineにエンタープライズにおける「ソーシャル」に絡んだ記事が出ていました。KM(ナレッジマネジメント)というキーワードが再び(実際には三度以上、ですか)登場しています。


KMはECMやBIと比べて言葉としての息が長いテーマですね。目的がわかりやすく、永遠の課題ともいうべき実現可能性の低さが、その息の長さの原因とも言えそうです。この記事も、例によって、ソーシャル的な基盤によってナレッジマネジメントの高みにまた一歩近づける(かも?)といった内容とも受け取れそうです。


メモとしてこれまで登場した有望そうな施策を列挙してみますと、



  • 機械仕掛けには限界があるのでナレッジ管理担当者(もしくは部門)を立てて専任であたらせる

  • Know HowではなくKnow Whoの蓄積に特化する

  • Wikiを使って自由度を高める

  • Blogを使って引用数によりPagerankを計算してインセンティブ化する

  • とにかく整理せずにため込んで後は優秀な検索エンジン任せ


なんていう流派があったように思います。それぞれに難点もありましたが、これらの施策は今日でも一定の効果をもったものだと思われます。ソーシャル基盤の整理も、この文脈においては施策の1つということになってしまうかもしれません。


こうして各施策を眺めると、「どこまでをテクノロジで解決しどの程度を人力でまかなうか」、が切り口として浮かび上がってきそうです。しかし、当たり前のことですが、その最適値は自明ではありません。多くの場合は業界特性や組織の色、そして何より「ナレッジマネジメント」の目的として何を据えるかに依存します。


これ自体はありがちな抽象論ではありますが、私たちは扱っているツールがツールなので、(多くの場合は文書の形をとる)具体的な成果物を作成するというミッションを持った組織に対する「ナレッジマネジメント」を支援するケースが多く、大抵の場合目的の設定はそれなりに具体性を持って進めることが可能です。


今後ソーシャルコンテンツマネジメントを進めるにあたって、同様の前提を置くことができるかどうかは、まだ未知数なので、目的の設定自体が困難だったナレッジマネジメントプロジェクトの事例などをあたってみると面白いことがわかったりするかもしれませんね。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月18日月曜日

Tech Populism

ソーシャルコンテンツマネジメントのところでも触れましたが、近頃、Tech PopulismとかTechnology Populismと呼ばれる傾向について考えさせられる機会が増えているように思います。(Populismでは通りが悪いのか単にDemocraticという語を用いるケースも多いようですが)


テックポピュリズム、技術ポピュリズムという訳が良いのか、あるいはもう少し意訳的な試みをすべきなのか悩ましいところですが、要するに個人生活においてGoogleやfacebookに慣れているエンドユーザが、既存の企業システムの使い勝手の悪さを許容できなくなってきている、というお話です。


私個人は恐らく就職活動にはがきを使わなくなった最初の世代にあたると思います。採用担当者との連絡はもっぱら電子メールで、面接の際にもそういうったことが話題に上ることがありました。大学に入学した時にはWindows95の発売の直前で、つまり普通のPCにはTCP/IPスタックが搭載されていなかった時代(Windows95がでてもまだオプションでしたね)ですから、6年間の間にインターネットが完全に社会インフラとして定着したということを実感したものです。


当時、会社のPCおよびネットワークの環境に対して「自宅環境に比べて貧弱すぎる」という不満を持っていた人は極めて少数派であったと思います。(もしかすると私自身はそこに含まれていたかもしれませんが)。ブラウザやメーラはほぼ同じものを使い、ハードウェアはどちらかと言えば会社のものの方が高性能、専用の高価なソフトウェアもインストールされているかもしれない、という状況でした。


その後、その前提が大きく崩れていきます。1つにはセキュリティポリシの適用があります。会社側が設定する方針にしたがってセキュリティ対策を実行すると、PCの性能は落ちますし、USB外部記憶装置が使えないなど、利便性も損なわれます。パスワードの強制変更にストレスを感じることもあるでしょう。


もう1つが、GoogleをはじめとするWeb上の生産性向上ツールの普及です。GMailはデスクトップのメーラと比べても遜色しない使い勝手と、遙かに高いレベルの可用性や検索などの利便性を備えた上で「無料」です。一方で会社で新システムとして導入されるWebアプリケーションは、使い勝手の面でのGoogleレベルというわけにはいきませんし、ブラウザのアップデートに追随できないということも珍しくありません。セキュリティ等々のリスクがあることは頭では理解できるとしても、わざわざお金をかけて無料のものよりも使いづらいものを作って強制し、生産性が落ちていく状況を飲み込むのは結構なストレスであると思われます。


こうした不満による反動は、クラウドブームに乗じたセキュリティについての考え方の見直しとあいまって、Google AppsやSalesforce.comの採用という形で徐々に目に見えるようになっているのではないでしょうか。技術の成長スピードは速く、その多くが海外からやってきていることを考えると、後ろ向きなセキュリティ評価に手間取っているうちにどんどん外から置いて行かれることになってしまいそうです。とはいえ、セキュリティを完全に無視してよいわけがありませんので、何らかの評価手法を打ち立てる必要があるように思います。弊社でも既存のお客様のシステム投資案評価の支援などを通してこのあたりの課題の整理を進めて行くつもりです。



(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月15日金曜日

Alfresco Shareのパフォーマンス改善


Oh man, that did it. The document library went from rendering in 6+ seconds to rendering in less than 1 second.


[From Improving Alfresco Share performance by using getChildren | ecmarchitect.com]

Jeff Potts氏のBlog、ecmarchitect.comに多数のサイトを作成した場合におけるAlfresco Shareの文書ライブラリ(とデータリスト)のパフォーマンス低下の問題とその解決策についての記事があがっていました。


問題となった環境には1000を超えるサイトがあり、サイト1つあたりの情報量は特段大きくはない、という状況だったようです。その中で、フォルダツリーは素早く表示されるが、個別のファイルの表示には時間がかかるという現象が見られた。


彼は当初、スクリプトからAlfrescoのノードを操作使用とした場合あらゆる情報はLucene経由で提供される、と勘違いをしていたそうです。LuceneクエリとDBクエリの使い分けはロードマップ上にはあってもまだ実装されていないだろう、と。(全文検索だけでなく属性値の検索にもLuceneを使っているというのは周知の事実であり、この点は我々にとっても常に混乱の元になっています。) そのため、何故フォルダツリーの表示だけは素早く表示されるのか、という点を誤解したままパフォーマンス改善にあたることになってしまいました。


Google Docsのコードやチェックアウト機能、アスペクトのチェック、フィルタ機能、と様々な機能を取り外してみたそうです。それぞれに僅かな改善効果があったそうですが、とても十分であるとはいえない状況だったそうです。


次に、ログを仕込んで実行時に時間がかかっている部分の特定にかかります。当然、クエリの部分が該当するわけですが、ノードに対して子ノードを問い合わせる処理(getChildrenの呼びだし)はPARENT節を含むLuceneクエリよりも有意に早いということが判明しました。


Alfresco Shareの文書ライブラリはYUIのテーブルを使って選択されているフォルダ内の文書リストを表示します。このテーブルはリポジトリに配置されているリスト情報を詰め込んだJSONを返すWebスクリプトにバインドされています。標準ではこのWebスクリプトはUI上で選択されてフィルタについての情報をgetFilterParamsを経由して取得した上でLuceneクエリを生成します。


当該サイトの場合はフィルタ機能の必要性が薄かったため、このステップを省略し、選択されたフォルダの情報を使ってgetChildrenを直接呼び出して高速化を図ったところ処理時間が6分の1以下になったということです。(ALLフィルタ選択時には、getChildrenバージョンのWebスクリプトを利用する、という仕組みでフィルタ機能を外したわけではないようですが)


このあたりのノウハウはバージョンが変わるとまた違ってきてしまうと思いますが、ご参考まで。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月14日木曜日

ソーシャルコンテンツマネジメント

先日参加したキックオフミーティングの中で繰り返し語られたキーワードに、ソーシャルコンテンツマネジメント、というものがありました。AlfrescoではSCMと略していましたが、曲がりなりにもSAP ERPのロジ関連モジュールを扱う部門に属していた人間としてはその略語はサプライチェーンマネジメントにしか見えませんでした。ソーシャルなんたらは、すべてSではなくてSoという略語にしてくれれば良いと思うのですが。


さて、そのソーシャルコンテンツマネジメントですが、ECMの次に来るパラダイムとして位置づけられていました。彼らの認識ではECM市場はほぼ飽和状態が近づいており、大手のECMベンダは皆危機感を感じている。持てる技術を適用すべき新しいフィールドを探している状態だ、ということです。その中でAlfrescoは、Alfresco Shareで手を着けていたコラボレーションの領域の先にある「ソーシャル」こそがその新しいフィールドであると定め、そこにECM技術を適用することで生まれる新しいソリューション領域をソーシャルコンテンツマネジメントと呼んでいます。(彼らは、オープンソースECMの先駆者としてスタートしていますが、「ECM」というキーワードからの脱却と時を同じくして、オープンソースというキーワードの「ハイプ(Hype)」は完全に終わった、という宣言もしていました。これは別の話題なので記事を分けて取り上げたいと思います)


Alfrescoは以前からfacebookやiGoogleとの連携実装などを発表していたので、特に目新しさは感じなかったのですが、ここでいうソーシャルコンテンツマネジメントというのは、外部のソーシャルネットワークとの連携を直接意味してはいませんでした。彼らはこのコンセプトは今準備している2つの機能強化によって実現されていく、と言っています。1つ目はShareにあるアクティビティ一覧の機能の強化です。サイト内でのあらゆる活動が、コラボレーションを効果的に促進させるようにわかりやすく表示されるようになります。もう1つは、jiveやLiferayのような「ソーシャルビジネスツール」との連携です。これらの製品は誤解を恐れずにおおざっぱに表現するならばいわゆるグループウェアをより強化し、文書作成やワークフローなどの本格的なオフィスワークを支援できる環境を実現したソフトウェアです。これらとAlfrescoをより緊密に(密結合というわけではありません)連携させることで、実効性の高いコンテンツ編集環境を生み出していくことになります。


もう1つのソーシャルコンテンツマネジメントに対する説明は、ECMが対象組織のすべてのコンテンツを統合管理できることに価値があったとするならば、ソーシャルコンテンツマネジメントでは組織外部とのやりとりもすべて対象と見なしていく、というものです。「やりとり」というところが面白い着眼点で、彼らはこれを”Content is the Conversation”と表現していました。例えばfacebookでは写真のアップロード行為そのものが他のユーザとのインタラクションの呼び水になります。コンテンツがそのまま対話の基本要素になっているわけです。もちろん、それに続くコメントの応酬もコンテンツになります。日本語では「いいね!」と表現されているLikeをつける行為、ライキング(Liking)や点数づけを行うレーティングの結果もコンテンツの構成要素です。こうした仕組みはファイル本体+メタデータというECMの基本的な情報表現と直接マッピングするよりも、専用のインタフェースを用意しそこを経由させる方が合理的だと言えるでしょう。これが、彼らの当面の技術課題ということになりそうです。


キックオフミーティングには営業担当者向けのセッションなどもあったのですが、北米市場では現実に企業内のITチームが「facebookの企業版」の必要性について真剣に検討している状況だそうです。これはやはり日本市場とはギャップがある点であるように思います。また、仮に日本でfacebookのような技術を検討するとしても、いわゆるWeb系の技術の援用で解決しようとする(それがエンタープライズ系のソリューション領域たり得るとは思わない)ケースが多くなるような気もします。その意味で、国内で今後もAlfrescoの普及に努めるために、このソーシャルコンテンツマネジメントというパラダイムをそのまま訴えるのが正解なのかどうか、懐疑的にならざるを得ない面もあります。


しかしながら、ECMにせよソーシャルコンテンツマネジメントにせよ企業内の非定型データを一定規模以上でスマートに取り扱おうとすれば、これらの技術が最も合理的であることに疑いはなく、その担い手の方向性によって我々が影響を受けるのは避けられない事態です。


そこで、今後のフォローだけでなく、ソーシャルコンテンツマネジメントに関する日本語での情報発信の土台を用意するために、半ば練習台ですがSlideShareに簡単な資料を載せてみました。まだ、うまくローカルのファイルが変換されないなどの不具合に悩まされつつではありますが、今後はこういうサイトもうまく使いながら積極的な情報発信をしていきたいと思います。



(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)


 



InfoQ: Apache Chemistry、OASIS CMISのオープンソース実装が最高レベルのプロジェクトに


Apache Software foundationは、Apache Chemistryが第一級のプロジェクトになったとアナウンスした。


[From InfoQ: Apache Chemistry、OASIS CMISのオープンソース実装が最高レベルのプロジェクトに]

ApacheファウンデーションによるCMISプロジェクトの格上げが発表になっていました。これもとりあげそびれていた話題ですね、、、


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)




2011年4月13日水曜日

Recoginzed

もう1つタイミングを逃してしまっていた話題がありました。うちのメンバーのBlogでも紹介されていましたが、Alfresco Recoginzed Partnerという格付け(?)を頂きました。そのための条件として、Alfresco社がはじめた技術者向けの認定試験の合格者数というものがありました。私自身もBlog執筆者であるメンバーも実は問題作成者として関与していたのですが、実際には思ったよりもボリュームのあるテストになっているようでした。元々、WCMまで入れてしまうとかなりカバー範囲が広い製品なので、単一のテストにまとめることの難しさはあったと思うのですが、求められる理解の広さや深さがわかりづらい、というコメントがその他の受験者からは聞こえてきています。これは結構悩ましい問題です。


来月には新しい技術者向けのトレーニングコースがリリースされる予定です。教材の日本語化はすぐには完了しないかもしれませんが、コース自体はリリース後すぐにでも実施したいと考えています。教材は英語であってもコース自体は日本語で行います。これまでは、エンドユーザとしての使い方自体は講座として用意されておらず、システム管理者向けコース、モデリングとカスタマイズのコース、API開発のコースという3部構成を基本としていましたが、API開発のコースの教材が古いバージョンのまま更新されなかったり、昨今のカスタマイズの基本技術であるWebスクリプトが十分にカバーされなかったり、という問題がありました。今後のコース構成ではこれらの問題が解決される予定です。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2011年4月12日火曜日

怠慢のつけ

 またしてもBlogの更新をさぼってしまっておりましたが、今回はその間にあまりにも沢山のできごとがありました。


 まず、途中まで書き上げていた記事に、弊社の5周年というものがあります。2月22日が創業記念日でした。今年の2月22日にaegifは創業からまる5年を経たことになります。創業メンバーとしてはそれなりに感慨深いものがあったような気もしますが、特にこれというイベントも行いませんでしたし、ノベルティグッズみたいなものを作ったりもしませんでした。


 実はその直前に求人についての考え方の記事を連投していたこととも関係あるのですが、今年に入ってからは特にビジネスも調子を取り戻しつつあり、このところ小休止状態になってしまっていた規模の拡大に向けて動きだそうとしていました。それも含めて皆忙しくしていたということもあるかもしれません。(つい過去形で記述してしまいましたが、人員の募集への積極的な姿勢自体は今も変わっていません)。10周年を祝う機会があればその時はもう少し派手にやっても良いのかなとは思いますが、案外10周年も同じようにあっさりと過ぎ去ってしまうような気もします。思うに、たとえば創業○周年パーティ! というイベントをやるとして、自分で自分を祝うということ自体が実はピンと来ていないところがあります。これが他の人のことであれば、純粋におめでたいことであり、無理に理由をつけでも祝い事をすべきタイミングだと思えるのですが、自分たちのこととなるとちょっと冷めるというか気後れをする部分もあり、行動が鈍ります。そうこうするうちに半年や1年なんてあっというまに過ぎ去ってしまうので・・・


#このあたりの感情的な動きについてはあくまえ私個人のものですし、うちの社長はむしろ派手好きで自分大好きなので、5周年をスルーしてしまったのは本当にたまたま忙しかったから、だと思います。ただ、派手好きな社長がいたとしてもちゃんと前もって計画をしないとこの種のイベントはすぐに過ぎ去ってしまうということは改めてよくわかりました。


 そして、3月に入って震災がありました。まだこの問題は総括して振り返るような段階にないと思いますが、ほぼ東京圏でのみ完結するビジネスを行っている(お客様はもう少し広い範囲にいらっしゃいますが)弊社にとって、直接のダメージはほぼなかったと言えます。防災の責任者としての私の怠慢から非常時の行動指針の周知徹底などはまったくできていませんでしたが、オフィスに勤務しているメンバーが率先して電子メールでの安否確認を行ってくれたこともあり、大きな混乱もありませんでした。六本木ヒルズは揺れ自体は長時間続いたようですが、エレベータの運行も比較的早い段階で復旧しましたし、電気も自力で発電して東京電力側へ供給しているほどだそうですからまったく途切れることがありませんでした。私は外出中だったのですが、結局徒歩でオフィスに戻り朝まで交通機関の復旧を待つことにしました。


 直接の被害を受けていない会社として、メンバー個人と連動する形での寄付を行うことにしましたが、他の形で寄与できることがないという点には忸怩たるものがあります。Goolgeと自社を比較してもはじまりませんが、Google社では安否確認のサービスを緊急で立ち上げたりGoogle Appsの当該地域での利用を無償化したりという施策を打たれています。自社の強みや日頃生み出している付加価値の部分をそのまま提供することで、その時自らが背負い込むコスト以上の便益を提供できているわけです。これは、素直に羨ましいと思います。我々は起業によって大きな行動の自由を手に入れていますし、幸いにして優秀なメンバーにも恵まれています。もちろん、資金力にはきつい制約がありますが、それでも自分はそれらのアドバンテージを十分に活かしていないのではないかと思えてなりません。大きな課題です。


 もちろんビジネス自体は継続しています。3月の後半にはAlfrescoのキックオフミーティングに参加して来ました。多くの人に日本の状況について温かい言葉をかけて頂きました。刺激になった点も多々あります。去年に限ったことではありませんが、彼らのビジネスは急速に成長しています。特に今後は国内でのパートナーシップ展開に力を入れていきたいという気持ちを強くしました。我々だけの限られたリソースでは、とてもついて行けない規模になってきています。欧州、北米に比べて国内のAlfrescoの導入実績は極めて少数ですし、今後はBRICsにも抜かれかねない状況です。これはほぼ、日本企業がECMを必要とした場合に、他国にくらべて高コストで身動きのとりづらいプロプライエタリ製品かスケールが期待できない小規模向け製品しか利用できていないということを意味しています。そして、その責任のうちの幾分かは我々にあります。今年は、これまで以上に積極的な情報発信と、パートナー候補となるSIerさんへの支援に力を入れていきたいと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)