2009年11月28日土曜日

CMIS Query Language | Old School Techie


[From CMIS Query Language | Old School Techie]

ほぼ自分のためのメモですが、CMISのクエリ機能だけをとりあげたBlogポストがAlfresco Blogsに挙がっていたので、リンクを貼っておきたいと思います。


CMISではクエリの機能はオプショナルという扱いで、この機能が実装されていなくてCMIS互換を名乗ることはできる作りにはなっているのですが、やはりCMIS自体がECMの世界にSQLのような共通言語を、というスローガンと共に推進されている以上、比較的関心が高い機能と言えるのではないかと思います。


ここで紹介されているように、基本的にCMISのクエリはSQL-92の拡張です。DocumentumのDQLをご存じの方であれば、イメージが摑みやすいかもしれません。コンテンツタイプの継承関係(テーブルが継承関係を持つような形になります)の解決ができたり、あるフォルダの直下あるいは下階層という形で階層構造上の位置を切り口にした条件指定ができたり、ある属性が複数の値を持つケースに対してのフォローがあったり(RDBMSの発想では第1正規化もできてない状態になるわけですね)、というのが主だった差分になるかと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月27日金曜日

Alfresco Delivers Governance


“Alfresco Records Management Module has the ability to transform the way in which government and commercial organizations approach their governance, retention and compliance strategies, as the open source pricing model will significantly reduce the barrier to regulatory compliance,” said John Newton

[From Alfresco Delivers Governance]

Alfrescoの公式サイトのPressリリースの紹介をしばらくさぼっていました。


ちょっと機会があってレコードマネジメントのモジュールについて調べていたのですが、そこでDoD 5015.2 Certificationの話題をスルーしていることに気がつきました。


国内でレコードマネジメントをやられている方の感覚としては、「何故DoD?」という感覚のようですね。やはりISO系の認証を得るためのレコード管理という案件が圧倒的に多いという現実があるわけです。その会話の中で仮説として提示していただいたのが、「ISOは自社でルールを決めなければならないが、DoD 5015.2であればルールが具体的で、実装しやすかった」という解釈だったのですが、これはかなり説得力があるのではないかと思います。


プレスリリースで取り上げられているのは最新バージョンのAlfrescoがDoD 5015.2のCertificationを取得したという話ですが、実は以前にも似たような発表がされています。何故今また発表があったかといいますと、基本的にこのCertificationがソフトウェアのバージョンがあがると再取得しないといけない性質のものだからなのだそうです。そのため途中のバージョンでは機能的にはRecord Managementのモジュールをバンドルしていながら、公式には対応を謳っていないという時代もありました。SharePointも同時期に取り組みを強化しているようですし、AIIM関係でもよく記事を見かけるのでまた米国ではレコードマネジメントがブームになっているのかもしれません。


もう少し調査した上で詳しいご報告をさせて頂きたいと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月26日木曜日

Alfresco Events - CMIS Virtual Training


In order to support education and training on CMIS, Alfresco is hosting the first CMIS virtual training session designed to explore the specification and share CMIS expertise.

[From Alfresco Events - CMIS Virtual Training]

昨日、といいますか厳密に言えば日本時間の今朝1:00から、Alfresco社のCMISに関するヴァーチャルトレーニングセッションがありました。WebexベースのWebinarです。そのうち録音されたバージョンがダウンロードできるようになると思います。


ここ数ヶ月の間に世界各地で実施されたMeet Upイベントで使ったネタの使い回しのようでしたが、CMISの現状がよくまとまった形で提示されていました。(トレーニングというよりも単なる説明で、特に何かを手元で動かすとかデモがあるというわけではなかったです)


AlfrescoのAspectがPolicy扱いで実装されているとか、CMISのミーティングの現場でどんな議論があったかとか、Apacheファウンデーションで作っているリファレンス実装についてのAlfresco社員の貢献についての話などもありました。講師のGabriele Columbro氏はAlfrescoのコンサルタントとしてアーキテクトのDavid Caruana氏とともにApache Chemistryプロジェクトに参加しているのだそうです。(Gabriele氏は特にMavenに詳しく、AlfrescoでMavenを利用した取り組みもほとんど彼がやっているみたいですね)


CMIS 1.0を迎えて色々と新しい情報もでてくるのかと思いましたが、流石に大幅な変更はないみたいですね。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月24日火曜日

KM World Announces Finalists for 2009 Promise and Reality Awards


Alfresco (news, site) which doesn’t really need an introduction, is an open source enterprise content management system with a flexible architecture that provides document management, web content management and collaboration software to enterprise customers worldwide.

[From KM World Announces Finalists for 2009 Promise and Reality Awards]

KM Worldの2009年 Promise and Reality賞という賞のファイナリスト5つが発表されています。KM Worldは文書管理、コンテンツ管理、ナレッジマネジメントなどを専門とする業界誌 KM World Magazineの発行元で、年1回のカンファレンスを恒例としていて今年のイベントがKM World 2009、そこで毎年Promise賞とReality賞を発表している、ということのようですね。


AlfrescoがノミネートされているのはPromise賞の方のようです。


他に挙がっているのは、Autonomy、Cabinet NG、Cormine Intelligent Data、eTouch SamePage、Expert Systemといった顔ぶれで、元記事ではABC順で表記されているため、Alfrescoが筆頭になっています。


上に引用した部分を簡単に翻訳しますと、「Alfresco、今更紹介するまでもないオープンソースECM製品です。柔軟なアーキテクチャを持ち文書管理、Webコンテンツ管理、コラボレーションの環境を世界中のエンタープライズクラスの顧客に対して提供しています」といった感じでしょうか。直後に続くAutonomyが「Autonomy、もう一つの紹介を必要としない、、、」という書き出しなのが他人事(?)ながら少し嬉しいですね。(AutonomyはAlfresco DMでいうところのDocumentumにあたるAlfresco WCMのお手本、Interwovenを買収した会社です)


ファイナリストに残ったというだけで受賞したわけではありませんし、実際に受賞とならない限りはこのBlogで続報を伝えることもないとは思いますが、海外での認知度がますます向上していることを実感しました。(受賞イベント自体はむしろ以前の方が多かったと思いますが、「紹介を必要としない」という扱いになったのはつい最近のことだと思うので)


よく読むとファイナリストはまだまだいるみたいですね。5社をピックアップしたのはCMSWireの判断なのでしょうか。(KM Worldのサイトを直接確認してみました。ここでは紹介のしかたも少し違うみたいです)


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月20日金曜日

8 Things SharePoint 2010 Needs to Be a True ECM System - Digital Landfill


For SharePoint 2010 to become the ECM category killer and truly threaten the market share of Open Text, EMC Documentum, IBM FileNet and others, the new version should have the following eight things:

[From 8 Things SharePoint 2010 Needs to Be a True ECM System - Digital Landfill]

8 thingsシリーズから「SharePoint 2010が真のECMシステムになるためには何が必要か」という記事をご紹介したいと思います。



  1. 永続リンク


  2. 1ソースマルチユース


  3. レコードマネジメント機能の改善


  4. メタデータ管理機能の改善


  5. 検索テンプレートと結果の保存


  6. アクセス管理(セキュリティ機能)の改善


  7. 使いやすい監査証跡機能


  8. さらなる業務システムとの連携


以上の8つがあがっています。


単純にECMを名乗るためには性能が足りないとか機能が足りないという話ではなく、実際に従来のSharePointを使いながらその他のECMとのギャップを解決してきた人の立場からの提言になっています。例えば、アクセス管理(セキュリティ機能)のところでも、すでにSharePointには十分強力な制御機構が備わっているが、実際の要件にあわせて権限の割当をおこなっていこうとすると、非常に手間がかかってしまう、という点を指摘しています。


永続リンクに関しての記述からは、SharePoint 2007では個別のコンテンツにユニークなURIを当てはめて外部とリンクをとることができなかったという点を大変重視しているということが読み取れます。通常のECMであれば各コンテンツにはユニークなIDがついているので、それをキーにしてやればいいがSharePointはパス名的な位置情報をからめたIDを使ってしまうので同じ感覚で使おうとすると難儀する、ということのようです。確かに他システムとの連携時に場所とIDが分離されていないのは少し苦しい物があるかもしれませんね。


2010に対する期待がいろいろな角度から表明されているという現状がよくわかりました。


#告知:私たちはMicrosoft SharePointの競合製品でもある英国Alfresco Software社のAlfrescoというオープンソースECM製品をAlfresco社とのパートナーシップに基づいて取り扱っています。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



「業務の可視化、は誰の責任か」


「業務の可視化、は誰の責任か」という問いから

[From aegif blog: 「業務の可視化、は誰の責任か」という問いから考えた事 (1)]

先日のポストに対し、「結局、誰の責任なの?」というある種もっともな質問が寄せられました。


先日の記事は、あくまでその問いに触発されて考えた事を書き散らしたものなので、問いそのものに答える意図はなかったのですが、確かにそこを無視した記述をしてしまったのは「看板に偽り」の類と見なされてもしかたがないかもしれません。


しかし、率直に言って「状況による」としか言いようがない話であることも事実です。こういう場合は、どういう状況によるのか、をもう少し掘り下げてみるべきですね。



  • 何のために可視化をするのか。システム化か、業務改善か、制度対応か。


  • システム/業務/統制などの各観点を網羅的に理解している人材がいるか。いないとしてそのポジションに一番近いのはだれか。


得意な人、目的に関してポイントを外さない記述ができる人、がやった方が良い、という原則は1つあると思います。


ただ、そもそも業務の可視化や要件定義の文書化に関してユーザ部門側の負担が増えて来つつあるのは事実です。特にパッケージベースのシステムが増えてきた中で、そのメリットを十分に受けるためには、現業部門との緊密な協力体制が必須です。システムサイドの人材の独断により現業部門にとって使用に耐えないシステムができあがってしまう、という悲劇は過去に何度も繰り返されています。その意味で、現業部門を強く巻き込むアプローチ自体には大きな意義があると言えるでしょう。


その意味で、やはり現業部門といいますかユーザ部門がオーナーシップを持つべきタイプのタスクであり成果物であると考えます。スキルや時間的なリソースの問題で対応する余裕がないということであれば、(かなり我田引水ですが)我々のようなコンサルタントを使うという方法もあります。最近ではBABOKという「ビジネスアナリシス」の知識体系も公開されています。こうした技術を活用して、品質の高い業務の可視化と評価を行いつつ、システム側にシステム要件定義を渡していく、というのが現状妥当と考えられているフローになるのではないかと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)




ERPって何?

30分くらい書けて書いていた記事のデータが消えました。 ectoのリッチテキストエディタモードとタグ入力モードの切り換えをやっただけだったのですが、、、


気持ちを切り換えてより短い文章で取り急ぎまとめてしまいたいと思います。


ITコンサルティングのお仕事の中では、業務アプリケーションの評価、パッケージの選定などを支援させて頂くことがあり、そうした文脈でECMだけでなくERPというのがどういうものなのか、という説明を求められるケースがまだまだ結構あります、というお話です。


ここ数年で中堅企業向けの業務パッケージはほぼすべて「ERP」を名乗るようになりました。しかし、SAPやOracle EBSを取り扱っている方々からみると、それらの中堅向け製品の多くは「本物のERPではない」ということになるようです。では、本物あるいは本格的なERPとして認められるための条件とはなんでしょうか。私は以下の3つの評価基準があり、それぞれの基準に対する合格ラインの設定の仕方が人によってまちまちなので、「本物」「偽物」なんていう議論が生じているのだと思います。



  • 「統合」の度合い


  • 「パラメータ設定」の適用範囲の広さ


  • 「グローバル/大規模」への対応力


の3つの基準に対して、それぞれレベルが設定できます。


「統合」



  1. 製品ファミリに一通りのモジュールがあってメニューも統一されている


  2. 内部で各モジュールがデータ連係している


  3. 内部的にも1ファクト1プレースが徹底されている(モジュール間で重複するデータを持たない)


「パラメータ設定」



  1. 特にパラメータ化されていない


  2. パラメータで業務の流れなどを細かく調整することができる


  3. 導入時のパラメータ設定を効率化するテンプレートが提供される


「グローバル/大規模」



  1. 規模の大きい会社には対応できない


  2. 規模が大きい会社にも対応できる


  3. グローバルな企業グループにもそのまま対応できる


それぞれの項目に対する評価が1であっても、ERPを名乗っているようなソフトは沢山ありますし、それが不誠実であるとも思いませんが、通常ERPと言った場合にはそれよりも少し上の製品群を期待するケースが多そうだということは理解しておく必要があると思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月18日水曜日

8 things e-book series


[From 8 things e-book series]

今までもいくつかご紹介してきましたが、AIIM関連のBlogでは「8 things of...」というフォーマットでのECMにまつわる記事が沢山公開されています。「情報管理について知っておくべき8つの事」「ECMにおけるコンテンツ分類についての8つの事実」などなど、です。


その一連の記事をまとめた電子ブックが無料で公開されています。Amazon Kindleを初めとして、何故か国内版ではPDFが読めなかったSonyの電子ブックなど複数のフォーマットがダウンロードできるようになっています。(私もiPod touchのStanzaで読んでみたのですが、どうも情報量に違いがあるような・・・)


英語圏での電子ブックの普及を実感します。日本でもKindleが購入できるようになりましたが、Googleブック検索から日本が除外されるなど、まだまだ目が離せない分野です。専用端末が普及するとILMの考え方にも影響があるかもしれません。


これからしばらくは8 thingsシリーズのご紹介をしてお茶を濁していきたいと思いますので、よろしくお願いします!


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月16日月曜日

Trends: Is the SharePoint bubble going to burst?


I may well be wrong, but I am starting to get the distinct impression that the SharePoint bubble is about to burst. Or at the very least, that enthusiasm for SharePoint is waning and demand for the platform set will begin to plateau.

[From Trends: Is the SharePoint bubble going to burst?]

CMS Watchの記事を読んで考えるところがあったので、ご報告まで。


Microsoft SharePointは弊社がパートナーとして国内展開をつとめさせて頂いているAlfrescoの言わば競合にあたる製品です。Alfrescoは今ではEMC社の一部であるECMリーダ企業の1つDocumentumからのスピンアウト組を中心として構成された会社ですので、Documentumこそがまずもっての競合(仮想敵)であったわけですが、今ではECM業界全体におけるSharePointのプレゼンスが高まっているため、SharePointを競合と見なすケースが増えて来ています。


もう少し詳しく説明させて頂くと、元々電子的文書管理システムEDMSと言われていた製品群をベースとしてEnterprise Content Management(企業向けコンテンツ管理、統合コンテンツ管理)と言われる分野が北米を中心としたITマーケットで台頭してきました。金融や製薬といった業界を中心に広がった市場ですが、日本での市場規模が諸外国に比べてかなり小さいことが知られています。多くの分野で日本のマーケットが北米の後追いの傾向を示すと言われている中で、ECMの国内市場での伸びは予想よりも低いと言うことがよく指摘されています。(これをビジネスチャンスと見るか、ECMが日本市場に受け容れられない、恐らくは「文化的な」、特殊事情があると考えるかは、議論があるところです)


国内国外問わず、ECMについて言われてきたことに、「(ライセンスの)価格が高い」という問題があります。ECMによって得られる便益のほとんどは直接的に利益に反映されるものではないため、コンプライアンスやデータ保護に高い関心を持ち十分な予算を割り当てることができる業界・企業にしか導入されてきませんでした。ECMというコンセプトそのものは、比較的広くその意義を認められましたが、実際の導入スピードは(海外であっても)その評価と比すると決して早いものではなかったと思います。また、技術的にも機能面での差別化が難しい領域であり、各ECMベンダはマーケティングによりシェアの奪い合いを重視した結果、徐々にビッグプレイヤに買収されていくことになりました。


このある種閉塞した状況に対して、もたらされた変化が、Microsoft SharePointの台頭であり、オープンソースECM Alfrescoの登場だったわけです。SharePointは元々はポータルを作るためのツールで、コンプライアンス面よりも業務の効率化に重点がおかれた製品ですが、価格が安いため従来のECM製品ではマッチしない領域にどんどん食い込んでいきました。(説明が前後しましたが、ECMベンダは一時「柔らかい文書管理」ということでコラボレーションツールをファミリ製品として発表したり買収したりという動きを各社一斉に見せていました。このあたりの製品群はSharePointとのオーバーラップ領域が非常に大きかったと思います)。


実際、(ECM業界団体として最大規模を誇る)AIIMでもSharePointに対する注目は年々増していますし、AIIM関連のブロガーの記事でもSharePointを専門に扱ったものをよく目にします。今回引用したのもそういったコミュニティの一端をなす記者によるものです。(オープンソース製品であるAlfrescoよりも、Microsoft製品であるSharePointの方が業界団体としての盛り上がりに勝っているというのは少し意外ですが、Alfrescoはオープンソースモデルではあっても新興ソフトウェア企業であるAlfresco社の製品でもあるということを考えるとさほど不自然なことでもないのかもしれません)


SharePointがバージョンアップを繰り返し、ECMの領域に進出することで、今までライセンスコストの面で「足切り」にあっていたような領域にも導入の機会が訪れたというのは大きなビジネスチャンスです。元記事「SharePointバブルは弾けようとしているのか?」から読み取れるのは、大企業もその利用法に関心を示し、いわゆる「銀の弾丸」的な扱いを受けていたという時期が確かにあった「らしい」ということです。(あくまで北米での事情だと思うので)


元記事は、SharePoint 2010は素晴らしい製品になると予想されるが、思ったよりも反響が冷めているのではないか、という観点で書かれています。大企業はやはりデフォルトでついてくるものとしてSharePointのライセンスを手に入れるが実際には使っていないケースもかなりあるのではないか、SI企業はかつてSharePointがECM市場に対する「銀の弾丸」であることを期待していたが今はもう幻滅しているのではないか、と指摘しています。SharePointはECM市場の間隙をうまくつきもの凄いスピードで市場を席巻しましたが、その結果ユーザもSI企業もSharePointの強みと限界をよく知ってしまったので、新しいバージョンに対する期待も押さえられてきている、という意味で、その成長が頭打ちになる可能性があると考えたようです。(具体的な書かれ方はしていませんが、従来型ECMの隙間を埋めるための答えはSharePointだけではない、他の選択肢もでてきている、という指摘もありました)


コメント欄には、こうした懸念は実態に即したものでなく、プラットフォームとしての需要はむしろまだまだ増える方向にあるのではないか、というような反論も投稿されています。


恐らく、どちらの言っていることも正しいのでしょう。いまやSharePointはよく知られたツールになり、ここ数年ほどのインパクトを与えることは難しくなってきています。これまでと同じような「勢い」はなくなっていくと考えるのが妥当だと思えます。しかし、たかだか5,6年で埋めきられる程、コンセプトとしてのECMの適用分野が狭いということも考えにくいと思います。ライセンス出荷ベースでの成長は鈍るかもしれませんが、SharePointを含む広い意味でのECM製品をプラットフォームとしたソリューションは今後も増えていくだろうと思われます。(そうしたソリューションの規模感や事例数を含めた市場データがうまく取得できると面白いと思うんですが・・・)


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月14日土曜日

Alfresco XTM


Fully integrated Open Standards based translation environment, offering automated translation for all popular document formats (Ms Office, Open Office, HTML, Frame Maker, inDesign, ~Visio, XML etc.).

[From Alfresco XTM]

現時点でのソリューションショーケースの紹介はこれで最後となります。XMLベースの翻訳メモリとAlfrescoリポジトリを統合することで、翻訳に関するワークフローをトータルに管理するソリューションAlfresco XTMです。


例えば弊社でもAlfrescoの関連ファイルを翻訳するにあたって、翻訳メモリと呼ばれるツールを使っています。(ちなみに私たちは今のところOmegaTを使っています)


翻訳メモリは原文と訳文のデータベースを構築することで類似の表現に対して一貫した訳語訳文をあてることを保証しつつ翻訳作業の生産性を向上させるツールです。この分野では「データベース」の形式も標準化が進んでおり、Alfresco XTMでも他のツールからの移行にも対応できると思われます。(弊社でも導入を検討すべきかもしれません。OmegaTは個人使用を前提としたツールですので)


XML-INTL社のXTMという翻訳メモリツールとAlfrescoリポジトリの連携ソリューションということで、翻訳メモリのメリットを活かしつつ、データ保護やワークフロー管理の統合を進めることができるようです。Picasa上でスクリーンショットも公開されています。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月13日金曜日

OpenMigrate


TSG's OpenMigrate is a unique migration utility developed for our Alfresco customers that addresses typical one-time and ongoing migration challenges such as applying unique business rules and migrating from different data sources.

[From OpenMigrate]

ソリューションショーケースも残すこと後2つです。


前回に引き続きTechnology Services Groupのソリューションです。私が初めてこの会社の名前を目にしたのはこのソリューションについての紹介記事でした。


DocumentumやSharepointからAlfrescoへの移行につかえるツールを公開しています。コンテンツ移行を抽象化し、実際にコネクタまで実装しているというのは素晴らしいです。(手元ではDocumentumしかトライしていませんが、色んなケースを試してみたいです)


そういえば日本語化も提案しておいて放置状態です。なんとかしないと。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月11日水曜日

IT Market Clock


[From あの技術はもう寿命か?「ITマーケット時計」ガートナーが発表 - Publickey]

「ハイプサイクル」を発表しているガートナーから新しいチャートが公開されたようです。


Advantage → Choice → Cost → Replacementというライフサイクルをぐるっとまわる形の時計型のチャートです。(リンク先のPublickeyでは先進、選択肢、お手頃、リプレースという訳語をあててますね)


Advantageの定義は、時計で言えば12:00から3:00、エマージング市場から次のステージまで。需要が少ないため競争も少ない。市場でのポジションは評価対象とならず、購買活動はそれが提供する価値そのものを評価した結果でのみ実施される。


Choiceの定義は、時計で言えば3:00から6:00、初期メインストリーム市場に至るまで。需要の成長スピードはこのフェーズがもっとも高く、それに応じて価格も落ちていく。


Costの定義は、時計で言えば6:00から9:00、初期メインストリーム市場から成熟メインストリーム市場まで。コモデティ化が急ピッチで進む。購買活動は主に価格を重視して行われる。


Replacementの定義は、時計で言えば9:00から12:00、レガシー市場を通過して市場の終焉まで。購入するにしても運用するにしても技術がメインストリーム市場から外れてしまっているためコストが膨らんでいく。ビジネス要件を満たすめ多くの顧客が代替案を求めているという状況になる。


ReplacementにはCRTモニタ(ブラウン管)とWindows 2000が挙がっています。これは確かに納得できます。デスクトップPCがCostからまもなくReplacementに入ろうとしている、というのは据え置き型作業環境の優位性を信じる古いタイプの人間としては少し危機感を感じますね。(仕事上のメインマシンはMac Book Proなのですが、自宅では外付けモニタを利用してデスクトップ的に使用しています。このやり方が結局もっとも生産性が上がると思うので)


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月10日火曜日

High Performance Interface (HPI) - Search


HPI Search increases user productivity by enabling less user training, fewer user errors and improved output capacity with an intuitive, streamlined interface.

[From High Performance Interface (HPI) - Search]

ソリューションショーケースも残りわずかになってきました。Technology Services Group社のHPI(OpenContent High Performance Interface)です。


CMISベースで開発されたエンドユーザ向けの作業環境ということのようなのですが、今ひとつリンク先のショーケース内のページだけでは内容が把握できなかったので、Technology Services GroupのWebサイトも見てみました。


元々Documentum上で動作する金融機関向けのソリューションだったようですね。セントラルスキャナからの取り込みやDocumentum等のシステムアカウントを統合したインボックス(受信箱)もつ「ダッシュボード」に加え、フォルダとファイルの管理、ワークフロー、テンプレート、ノート、関連文書リンク、2面表示のビューワといったDocumentumの機能を使いやすくするためのオルタナティヴクライアントとしての「デスクトップ」と、今回ソリューションショーケースとしてAlfresco対応が謳われている「サーチ」の3つのコンポーネントがあるようです。


OpenContent HPI全体としては、DocumentumファミリのTaskSpaceと比較されるようなカテゴリの製品で、WDKなどのEMC独自の技術に依存せずOut of the box(カスタマイズなしの、標準のという意味のIT業界でよく使う表現ですがOOTBって略すこともあるんですね。このページではじめて気がつきました)のDocumentumさえあれば動作する、ということをメリットとしてあげています。SpringベースでSOAP Webサービスを意識した作りになっているということなので全体がCMISベースのソリューションとしれリファインされ、「サーチ」以外のものもAlfrescoに対応する日もそう遠くないかもしれませんね。


、、、と思ったら HPI now supports Alfresco! というリンクを見付けました。リンク先のPDFファイルを読むと、ソリューションショーケースにあった「サーチ」にあたるであろう”Configurable Search and Retrieval”というコンポーネントと"HPI Admin"という管理者向けのコンポーネントの紹介とスクリーンショットが含まれていました。Documentum向けに開発されたすべての機能が網羅されているわけではありませんが、Alfrescoの弱点の一つである管理者支援の弱さを保管するソリューションになっているようです。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月7日土曜日

Accounts Payable


This solution will lower the cost and time of invoice processing by 50% or more.

[From Accounts Payable]

またもやソリューションショーケースのお話に戻ります。


スペインのQueres Tecnologias社のソリューションで、買掛金管理システムのようです。請求書を取り込んでリポジトリに格納し、アドバンスドワークフローを通じてERPに接続するという仕組みで、業務にかかる時間は50%以上削減され、紙の保管と収集のコストが90%節約できる、とうたっています。請求データは電子であっても紙であっても対応できるそうです。


連携相手のERPに関してはmost common ERPsという表現になっているので主要ベンダの製品には一通り対応可能ということでしょうか。(そこに関しては都度カスタマイズということかもしれませんが)


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月6日金曜日

「業務の可視化、は誰の責任か」という問いから考えた事 (2)

昨日の投稿をざっと見返してみると冗長な表現が多く、少し落ち込みました。


さて、ややもすればコンサルティングの価値の源泉の1つとも言えそうな「業務の可視化能力」「抽象的な評価能力・表現力」のようなものが、実はより単純そうに見える「表記ルールの遵守」ができるかどうかに依っているように見える。そして、その見かけ上の矛盾は、実は「表記ルールの遵守」というのが意外に難しいってことで説明がつくのではないかと思っています、というところまでご説明したところでした。


業務の可視化というお仕事の成果物は、多くの場合フロー図です。(マジカは非常に美しい例外だと考えるべきだと思います。少なくとも今この瞬間においては)。そして、フロー図そのものが作業のゴールであることというのは非常に稀です。フロー図に従って、業務を分析する、新しい業務に切り替えてもらう、システムを設計する、などの後続の作業があるのが普通です。そして、それらの目的をかなえるためだけであれば、何も細かく表記ルールに準じている必要はないとも言えます。実際、細かい文書作成に時間をとられるくらいなら開発作業を先に進めましょう、という提言には十分な説得力があります。


したがって、「表記ルールの遵守」というのは、多くの場合「絶対にやらなければならないこと」とは思われていない、ということが言えそうです。そして、そのことが難易度を上げ、できない人を生み出しているのではないかと思うのです。


「絶対にやらなければければならない」という認識がなければ、細かい表記ルールに気を配ったり、既に書いてしまった成果物との整合性を常にチェックして矛盾を回避したり、という地味な作業にはどうしたって力が入りません。その意味で「表記ルールの遵守」を「絶対にやらなければならないこと」だと思えるかどうかが、業務の可視化スキルの有無を決定づけているのではないでしょうか。


いわゆるコンサルタントと呼ばれる人間が、お客様側の担当の方やSEと呼ばれる人達に比べて業務の可視化というジャンルでアドバンテージを持てるのだとすると、その理由には2つあるのではないかと思います。1つは、フロー図そのものが仕事上の最終成果であるケースがままあるということです。お客様担当者であればその先の業務そのものが、SEであればシステムの開発が、より上位のゴールとして見えています。もちろん、コンサルタントもより上位の目的を忘れないように心がけているはずですし、むしろそう言う視点も価値の源泉の1つであるとされることも多いと思うのですが、フロー図を作った時点で納品、その成果物の品質で仕事の評価が決まってしまう、というプレッシャが後続タスクが明示されていない分だけより大きくなるはずです。そのため、フロー図の世界の中での品質を追求する=表記ルールも極力重視する、という結果に繋がります。


もう1つは、陳腐な例えですが、いわゆる”煉瓦を積む人”のようなお話です。やはりコンサルタントの方が、そうでない人に比べて「表記ルールの遵守」がプロジェクトの成功確率を押し上げる、というある種教科書的なテーゼをちゃんと信じている、という傾向があると思います。何故その表記ルールが制定されているのかという背景を理解し、そのことにより将来のどういうリスクを抑えているのか、ということを踏まえた上で作業を行います。そのため、単純に強制される作業ルールとして「表記ルール」を課されているという立場の作業者に比べると相対的に遵守レベルは高くなることが期待できます。(この辺りは、細かく1対1でルールの意味を咀嚼しているとは限らず、人によっては感性でその意義を嗅ぎ取っているとしか思えないようなケースも多々ありますが)


逆に言うと、それが自身の評価に繋がるという環境があり、またルールを遵守することが成功に繋がるという理論的バックボーンに対する信頼感を寄せていない限りは、「表記ルールの遵守」というのは中々難しいことなのではないかと思うわけです。


くどい話を続けた上で最後は精神論か、と言われてしまいそうですが、私は以上のような理由から、「業務の可視化」を実行できるかどうかは個別の知識や技能によるというよりも、むしろコンサルタントですとかビジネスアナリストなどの役割を与え、その役割の意義をしっかりと理解させられているか、という点に大きく依存するだろうと考えています。そしてその役割に耐えられるかどうかが弊社のメンバに期待する条件の1つともなっています。


#でも、例えば中途採用の面接でその対応力が計れるかというと、難しいんですよね。。。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月5日木曜日

「業務の可視化、は誰の責任か」という問いから考えた事 (1)

先日、営業で伺った会社さんで、「20年くらい前まではSEと言われる人が『業務の可視化』の責任を持っていた。しかし今ではそれはユーザ側の責任だ、と言われてしまう。で、作ってみるとこれではシステム化に十分な情報が盛り込まれていない、となる。昔の仕事の仕方の方が効率的だったのではないか」という趣旨のご指摘を頂きました。


そのお話をお聞きした時に、私がコンサルティングサービスの現場で感じている問題との関係に思い至ったので、今回は趣向を変えて「オープンソース」ではなく「コンサルティング」のお話をさせて頂こうと思います。(因みにその場では、「我々の先輩にあたるコンサルタント諸氏がパッケージシステムの隆盛に乗じてSEと呼ばれる人達からその業務を引きはがした結果」という説を提示すると共に、教科書的な「ユーザ参加の意義」を指摘するという少々煮え切らないお答えをしてしまいました)


我々はコンサルタントとして、時にこの「業務の可視化」の部分のみをお仕事として受けることがあります(実際にはパッケージシステムとのフィット・ギャップ分析の一部として実施されることがほとんどですが、フェーズで区切ればまさに可視化だけを粛々とやることになるわけです)。プロジェクトメンバであるお客様側のご担当の方が文書を書く作業をアドバイザリという立場で支援させて頂くこともありますし、我々が主体となってインタビューから記述まですべてやらせて頂くこともあります。こうした経験の中から1つ言えるのは、確かに「業務の可視化」という作業は人を選ぶ作業に見える、ということです。


#議論が発散しがちな領域なので、以下ではERP導入プロジェクトにおける「プロセスマップ」やSOX法対応における「業務フロー図」のようなフロー図を描く作業を「業務の可視化」と呼ぶことにします。非常に乱暴ですが、ToBeかAsIsか、という違いすら考慮しないこととします。


お客様側にも(残念ならが)我々のようなコンサルタントを生業とする人間にも、品質の高い文書をすぐに描き出すことができる人もいれば、そうでない人もいます。個人差はかなり大きいと感じられます。特にこの種の作業を苦手とする人が陥り勝ちな問題としては、



  • 用語が統一できない(同じ文書や部門などの名前が場所によって違っている)


  • 粒度が統一できない(あるところでは「箱」1つで表現している作業が、別の場所では2つ以上の「箱」の連なりとして表現されている)


  • 語尾などの語法が統一できない(体言止め、などのルールがところどころ破られている)


という表現上のルール違反があり、これらが大部分を占めているとも言えると思います。


もちろん、そもそも何を書いたら良いのかわからない、自分の業務を抽象的に評価することができない、という問題を抱えているように見受けられる人もいます。そういう人は最後まで図を描き上げることが難しいので、お客様が主体となって作業をするタイプのプロジェクトでは別の担当を立てて頂くことになりますし、我々が主体となって作業をするケースではインタビューが紛糾することになります(もちろん、なるべく効率良く情報を収集するためのテクニックも存在しますが、やはりこうした作業に対して相性が良い担当者様の方がインタビューも簡単に済むのは間違いありません)。前者のケースで、引き継ぎ時などに途中まで書いたものを見せて頂くと、ほぼ間違いなく上記の「ルール違反」が含まれている、、、ような気がします。

「業務を抽象的に評価・記述できない人」は表記ルールを遵守できない(ことが多い)、という結論になりますが、これは少し実感に反する結論です。

表記ルールが遵守できる人なら、「業務を抽象的に評価・記述できる」のでしょうか?


すぐにYESと回答することはできない問いではないかと思います。単純にイメージの問題としても、「表記ルールの遵守」のために必要なスキルセットよりも「業務の抽象的評価」に要求されるスキルセットの方が高度であるというのが、一般的な認識だと思われます。つまり、より簡単と思われる要求が、より難しいと思われる要求の「十分条件」にあたるという主張になっているわけです。


この違和感の原因を考えると、(少なくともここまでの理屈の上では、)「表記ルールの遵守」というのが実は結構難しい、あるいは、「業務を抽象的に評価・記述できる」というのはそれほど難しくない、のどちらか、もしくはその両方、ということになりそうです。そして、私は「表記ルールの遵守」が意外に難しい、という立場でもう少しこの問題を掘り下げてみたいと考えているわけです。


続きます、珍しく


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)



2009年11月2日月曜日

Plutext Word Document Collaboration


Plutext enables simultaneous editing of Microsoft Word documents in Alfresco, so everyone on the team can work on a document at the same time.

[From Plutext Word Document Collaboration]

ソリューションショーケースのご紹介を続けます。


未だに賛否両論という状況が続いているような気がしてならないOffice 2007系ですが、Word 2007を前提とした「リアルタイムコラボレーション」を実現するためのオープンソース製品、Plutextが紹介されていました。


Word 2007のアドインとして動作するプログラムなのですが、サーバ側はAlfresco+拡張モジュールで実装されているみたいです。


私自身は、契約書ぐらいでしかWord形式でがちがちの変更履歴+コメント編集を行っているところに係わることはないのですが、(ExcelやPowerpointの方が「協同作業」上は触れる頻度は圧倒的に高いです)、試み自体は面白いと思います。


PlutextのWebサイトはその他のソリューションに比べるとあまりビジネス寄りな感じがしませんね。(Tracサイトに誘導されます)


Office 2010 LiveやGoogle Waveなどが本格的に利用されるようになってくると、この辺りの協同作業環境は劇的に変化するのではないかと思いますが、Wordをそのまま使える+AlfrescoのECM機能がそのままほぼすべて活用できる、というのは面白い特徴だと思います。


(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)