こんにちは。aegif 技術担当役員の石井です。
リクエストを頂いたので昨日のパネルディスカッションでどんな話をしたのかを簡単に振り返りたいと思います。
まず、昨日のポストではちゃんと書けていませんでしたが、タイトルは『オープンソースビジネスの展望』~業務アプリもオープンソースの時代へ~というものでした。ビル・トッテンさんは別格として、モデレータの日本スケーリックス 大塚さん、オープンソースCRM 内田さん、そして私 石井が海外のOSS業務アプリの日本展開を、手嶋屋 手嶋さんとマインド 屋代さんは自社製製品のOSSモデルでのビジネスを実際に行ってきている、というメンバ構成です。
やはりOSSコンソーシアムということで、サブスクリプションモデルであるとかOSSに対する有償サービスの存在などは既知の情報として取り扱われる傾向があり、「OSSはLinuxなどのOS、ApacheそしてMySQLなどのミドルウェアとシェアを伸ばし、今後はアプリケーションにも拡がる(のかどうか)」という世界観や「品質は良いが、実績がないため顧客からの評価に結びつきづらい。特に日本では」などという比較的陳腐化してそうな課題意識についても特に説明を省略した形ではじまりました。このあたりは組織の色に合わせて、ということなんでしょうね。(とは言え、昨日も触れましたが「OSSのビジネスは難しい、ということを所与の事実であるかのように語るのは辞めてほしい」というような声もあがったので、会場のすべての方に対して共有されている文化ということでもないのかもしれませんが)
個別の話題としては、「最近、プロプライエタリベンダが無償版を提供するというケースも出てきているが、そういった言わば『脅威』に対してどのように考えるか」という質問がありました。ビル・トッテンさんは「ただの誤魔化しなので顧客はついていかないだろう」と断じていました。私は、ECMという特殊な領域をメインにしているので、「無償版でなくともプロプライエタリベンダがダンピング的な入札を行うことはあるが、それはすでに償却が終わった古い製品(当然設計も古い)だからできることなので、実質的な脅威にはならない」というような若干強気の発言をしてみました。その場では時間も限られていたのでうまく説明できませんでしたが、ダンピングが発生しているというのはすでに相手側がOSS(この場合はAlfresco)に脅威を感じているということであり、その時点で相手側の実績とこちら側価格メリットがすでに拮抗状態にあると見なせるだろうという前提を意識していました。その段階で、詳細な比較を行えば技術的な優位性がクローズアップされるので、強気で高値をつけてこられるよりむしろ戦い易いくらいではないか、との思いがありました。
個別の話題を追っていくとひたすら長い記事になってしまいそうなので、各パネラのみなさんの発現内容などを簡単にまとめて、今回の記事は閉じたいと思います。
まず、ビル・トッテンさん。別格としか言いようがありません。長年のプロプライエタリ製品販売ビジネスおよびサポートビジネスの実績の上に立って、OSSを1度1つの脅威と捉えた上での意思決定という背景がよくわかるので迫力がありました。
順番が前後してるかもしれませんが、モデレータの大塚さん。経営および営業サイドからの難しさ・問題意識を提示しわかりやすく場をまとめるということをされていたと思います。今、大変お忙しいはずなので、お身体が心配なところです。
オープンソースCRMの内田さん。内田さんは我々が企業した直後から「先達」としてお話を伺う機会がありましたし、セミナなどでも何度かご一緒しています。SugarCRMにまつわる必要な支援業務はすべてできるようになっていること、また他のコマーシャルOSS製品も取り扱いをはじめられているなど、壇上でも心強いお話が多かったように思います。
手嶋屋の手嶋さん。SpikeSourceに関連して以前一度だけご同席させて頂いたことがあったかと思います。実は弊社でも社内システムとしてOpenPNEを使わせて頂いております。他とくらべ「業務アプリ色」が薄い製品を取り扱っておられる手嶋さんですが、壇上での発言は誰よりもクリアで、非常にビジネス的なトーンであったのが印象的でした。
最後にマインドの屋代さん。屋代さんとも恐らくお会いするのは2度目だったと思います。ご兄弟でビジネスを展開されているということで、実家の工場からドロップアウトしてしまった不肖の長子である私としては非常に羨ましい限りでした。手嶋さんとは逆に、非常に業務色が強いアプリを扱っておられる反面、穏やかかつ素朴な発言をされることが多く、そのコントラストは会場の方にも印象が残ったのではないかと思います。
最後に、壇上でも自己紹介時にお話しましたが、私だけ副社長で代表権がなく、経営者としての迫力にかけていたと思うので、今度同じような機会があったら是非うちの社長にもチャレンジさせたいなと思いました。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)